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建設経済新聞社
2020/09/09

【京都】水垂運動公園はPFI軸に検討 11月に事業者選定委設置へ 設計・施工一括で約35億円と試算

 京都市は8日、伏見区に計画の水垂運動公園(仮称)について、PFI手法を軸に検討を進める方針を明らかにした。
 市は現在、庁内横断的なプロジェクトチームを立ち上げ検討を進めている。令和3年度以降を予定する発注準備のため、11月に附属機関の設置等に関する条例を改正し、事業者選定委員会を設置して、施設の整備・維持管理における必須事項等の整理や確認を行う。
 できるだけ早期に公園の整備・運営を担う事業者の選定手続きに入りたい考え。
 伏見区淀水垂町の水垂埋立地約16fにおける水垂運動公園(仮称)の整備を巡っては、平成28年に公園整備基本計画の見直しを公表。平成29年度はPFI等導入可能性調査を実施。令和元年度はサウンディング型市場調査を行った。令和2年度は内閣府補助を受け、PFI等導入可能性調査を実施し、事業手法の比較検討を行うとともに、国土交通省補助を受け、広域的な活用が図れる新たな整備計画の作成を行っている。
 なお国の大下津引堤事業(桂川)も進捗しており、公園の接続道路となる新しい府道水垂上桂線の整備も着手することが見込まれる。
 令和元年度のサウンディング型市場調査には10社が提案。また事業に関心のある事業者や競技団体に個別にヒアリングし、参入意欲の把握や意見交換を行った。
 その結果、大半の事業者から「同地の立地条件では民間が公園の整備はもとより運営を独立採算で行うことは困難」「公園整備という公共事業であることから、市が事業費をかけて取り組むのであれば協力は可能」とした意見があった。
 このほかでは「敷地造成費及び敷地に起因するリスク(地盤沈下、発生ガス等)は行政負担が必要」「市が必須とする運動施設は平日に多くの利用が見込めず、利用料金収入による運動施設の整備費を賄うことはできないため、運動施設の整備費は行政負担が必要」「便益施設を積極的に導入するための建ぺい率等規制の緩和が必要」などの意見があった。
 サウンディング型市場調査を踏まえ、敷地造成及び緑地(グラウンド・ゴルフ場含む)、サッカー・ラグビー場2面、多目的グラウンド1面は行政が整備、便益施設(民間施設)、駐車場(便益施設)は民間が整備などとする費用負担のイメージをまとめた。
 計画によると、多目的グラウンドについて、サッカー、ラグビー、フットサルはもとより、少年野球やソフトボールも可能となるよう、人工芝を敷設し、面積を拡大。別途整備を予定しているサッカー・ラグビー場(人工芝2面)と合わせて人工芝のサッカー・ラグビー場3面を擁する府下で初めての公園となる。多目的グラウンドの名称は「総合フィールド」とし、地域の行事や音楽イベントなど多用途に活用できる公園を目指す。
 一定規模のフリースペースを設け、常設・仮設を問わないことで、ニーズに応じた民間事業者の負担による運動・便益施設の導入を促す。
 公園全体の敷地造成や市が必須とする運動施設の整備費は市が負担するが、完成後の運営費は、サッカー・ラグビー場、総合フィールドにナイターの照明設備を導入し、平日夕方からの利用ニーズにも応え、事業の収益性を高めるとともに、民間の運動施設に準じた利用料金による収入や事業者の運営工夫により、市負担を可能な限り減らすことを目指す。
 導入施設は、人工芝サッカー・ラグビー場(2面)、人工芝の総合フィールド(サッカー・ラグビー場1面、7人制サッカー2面、フットサル10面、少年野球・ソフトボール2面、イベント利用など)、グラウンドゴルフ場(8ホール×3コース)兼芝生広場、管理事務所等、駐車場約500台収容、フリースペース(常設・仮設を問わない民間提案による便益施設)。
 2つのモデルプランを策定。モデルプラン@は、公園の中心部に事務所及び駐車場を配置し、利用者の利便性や動線を考慮した配置。モデルプランAは、大会利用頻度が高いサッカー・ラグビー場等の運動施設を北側に配置した案。
 事業手法はPFI手法のBTO方式を採用する。
 モデルプランの整備は約38億円と見込み、これをPFIによる設計・施工一括発注とした場合は約35億円まで圧縮できると試算。維持管理費を合わせた総事業費での比較となるVFMは12・7%となり、従来の公共事業と比べコストダウンできるとし、民間活力の導入効果が一定あるとの結論となった。
 今後は、埋立地だった整備予定地の性状を事前に把握するための地質調査やそれを踏まえた対策、周辺道路への交通負荷の分析などの対応に取り組む。