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建通新聞社(東京)
2020/10/01

【東京】都 業務委託のロアリミット、試行拡大へ

 
東京都は、財務局契約の一部案件で10月から試行する設計等委託業務の最低制限価格制度について、2021年度中をめどに、財務局以外の案件にも試行を拡大する方針を明らかにした。設計・測量・地質調査だけでなく、構造や設備に関する設計委託にも適用する予定。9月29日に開かれた都議会本会議で、中嶋義雄氏(公明党)の代表質問に潮田勉財務局長が答えた。
 10月から導入する最低制限価格制度の対象は、競争入札案件のうち、WTO政府調達協定の対象と総合評価(落札)方式、単価契約の案件を除いた「建築設計」「設備設計」「土木設計」「測量」「地質調査」の各業務。財務局で契約する比較的規模の大きな案件で試行し、課題の抽出・検証を行った上で、順次試行範囲を拡大していく。
 中嶋氏は、「設計には意匠設計だけでなく、構造や設備設計などの分野が含まれ、それぞれの成果物である図面が工事内容を左右する。受注者側の想定外の費用負担や工期の超過、過重労働につながる恐れをはらんでいる。構造や設備などの分野の設計にも最低制限価格制度を適用していくべき」と求めた。
 これに対し潮田局長は、「10月からの試行の状況や業界団体の意見などを聞きながら、十分に周知を図った上で各局契約の一部案件にも施行を拡大したい」と述べた。
 また、働き方改革に関連した質問に答えた潮田局長は、建設業全体の働き改革を促すためには、「受注者の施工体制や取り組み状況に応じて、柔軟に対応できる体制の整備が必要」との考えを示した。 
 一方、中嶋氏は若手の確保のためには週休2日が重要だとした上で、「都が実施しているモデル工事では労務費が上乗せされているという事実を、下請けも認識できる環境づくりを図るべき」と指摘。潮田局長は「モデル工事の現場には、労務費を補正している旨を明示したポスターを掲示している。受注者に直接、補正の趣旨を説明するなど、より丁寧に対応する」と説明した。
 適切な工期の設定も求めた。工期に関しては、10月に施行する改正建設業法を踏まえ、「全庁的な会議などを通じて周知徹底を図る」とした。
 この他、工事関係書類の電子化について、情報通信技術を活用した書類の提出や、はんこレスの効果を検証するため、使用頻度が高い書類を対象に、20年度中にモデル工事を実施することも明らかにした。
 
提供:建通新聞社