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北陸工業新聞社
2020/10/20

【福井】鯖江瓦/坂川茂氏建設マスターに輝く/20年度優秀施工者国土交通大臣顕彰/常に「プロの目」意識した仕事を/1400年の伝統つなぎ、次世代へ/「瓦は素晴らしい屋根材」

 大本山永平寺をはじめ、県内外で多くの社寺の瓦を手掛けてきた、鯖江瓦の坂川茂代表取締役が優秀な技能・技術を持ち、後進の指導・育成等に多大な貢献をしたとして、令和2年度の優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)に輝いた。
 「新型コロナウイルスの影響で式典がなく、まだ賞状が手元に届いたわけでもないので、実感が湧かないが、身に余る光栄」と率直な感想を語る。
 福井県屋根工事業協同組合の理事長も務める坂川氏は武生商業高校を卒業後、父が創業した鯖江瓦工業所(現・鯖江瓦)に入社。以来、40年以上にわたって瓦屋根工事業に携わり、一級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全瓦連瓦屋根診断技士など多数の資格を取得するなど、技術の研鑽に努めてきた。
 数十年前に研修先で教わった「常にプロの目を意識した仕事を」という言葉を今でも深く心に刻み、「同業者が見ても納得するような、しっかりした仕事」を追求し続ける。
 屋根工事の醍醐味は、「建物の完成後でも自分がやった仕事が見える。仕事を作品として考えれば、みんなに見てもらえるという良さがある」。同時に「まちの風景の一つにもなるのが屋根。景観面でも重要」と指摘し、「なおさら、いい加減な仕事はできない」と職人の誇りとプライドを滲ませる。
 受賞を機に、後進の育成にも一層力を注ぐ方針。組合に技能グランプリを目指す若手がいると明かし、「出場したいという気持ちがあるだけでも凄いこと」と次世代を担う後進の存在に相好を崩しつつ、「少しでも伝えられることがあれば」とバックアップを誓う。
 併せて力を入れたいのが「瓦の復権」。「将来的な維持管理も含めて考えれば、瓦は決して高くはない。素晴らしい屋根材」と強調。「1400年続く伝統を、ここで途絶えさせるわけにはいかない。もっともっと使ってもらえるよう、瓦の良さを訴えていきたい」と力を込める。

hokuriku