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建通新聞社(東京)
2020/11/12

【東京】都 駐車場条例、地域実情に合った基準検討

 東京都は、大規模な建築物を新設する際に適用する駐車施設の附置義務基準について、条例の改正も視野に入れて見直しを開始した。附置義務基準駐車場の整備が着実に進んだ一方で、区部では自動車保有台数が減少傾向にあるなど、条例が現状にそぐわない面が出てくるようになった。まずは、地域の特性や駐車需要に応じた附置義務を設定できる「地域ルール制度」の拡充を目指す。これに向け11月10日、駐車場条例検討委員会での議論を開始した。
 都の駐車場条例は、違法駐車対策を目的として1958年に制定した。建物単位で設置すべき駐車場施設台数を定めているもので、地域によっては基準通りに駐車場を設けることが不合理な場合がある。そこで、2002年からは、一律の基準ではなく、地域特性に応じて駐車場台数を設定できるよう、地域ルール制度を導入。これまでに、銀座地区や大丸有地区など10地区で地域ルールを策定した。
 ただ、地域ルールが策定可能な対象エリアは限定されており、「駐車場整備地区」と「低炭素まちづくり計画」の区域内では区市が、「都市再生駐車施設配置計画」の区域に指定された場合は民間事業者などが策定できる。
 条例を制定して以降、駐車場の整備が着実に進展したことや、自動車保有台数が減少したことにより、一般車の駐車需要は減少傾向にある。一方、インターネット通販を中心としたeコマース市場が拡大したことにより物流が増え、荷捌き駐車需要は拡大している。
 地域の駐車実態に合った駐車場の整備や、地域の課題解決につながるまちづくりの一環としての駐車場整備がより重要になっている現状を踏まえ、地域ルール策定の対象エリア拡大や、策定に関心がある区市への支援を検討する。
 これに向け、検討委員会では、新しい地域ルールの制度設計や、地域ルールを策定する自治体への支援策などを議論。21年9月ごろをめどに最終報告案をまとめる。
 附置義務基準の見直しに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響による人の移動や駐車場の利用状況を見極める必要があることから、21年度以降に駐車場利用の実態調査をスタートする。

提供:建通新聞社