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建設経済新聞社
2020/12/09

【京都】弥栄会館計画を景観審査会で事前協議 一部増改築しホテルに再生 設計・施工は大林組が担当

 京都市は8日、令和2年度第1回景観審査会を開催。事前協議の祇園甲部歌舞練場敷地整備計画(弥栄会館計画)を審議した。
 祇園甲部歌舞練場敷地整備計画(弥栄会館計画)は、登録有形文化財の弥栄会館の保存活用を前提として増改築し、ホテルとして再生するもの。
 景観保全の観点から、既存外壁躯体の半数(正面の南・西面)を保存しつつ、歴史的価値を損ねないよう最低限必要な開口部を増設する。北・東面は外部階段をとりやめる等意匠を整える改築を行う。耐震性と保存活用の観点から既存躯体は南面の1〜3スパン、西面の1スパンを保存し、内部意匠や素材を生かし、記憶の継承を目指す。
 仕上げ材の改修・更新を行い、ホテルとして有効活用していくための増改築を施す。建物の利用価値を高める歌舞練場本館等と敷地を同じくしている利点を生かし、改修後の建物の利用者が花街の文化などを体験できるような工夫をするなど、敷地内の建物を相互に有効利用するための方策を検討する。
 外壁タイル等の外装材は、現状保存、再利用及び再製作して改修する。新たに設ける部分の意匠は、遠目の印象を守った上で、細部を現代的な納まりとする。屋根材は飛散、破損、漏水が散見されるため、撤去の上、同材料で復原更新する。竣工後に撤去された西側バルコニーを復原する。
 北棟は祇園町南側地区の様式にならった意匠とすることで周辺に溶け込んだ外観とする。
 正門は耐震改修により保存を行う。
 計画地は京都市東山区四条通大和大路東入祇園町南側570−2の敷地3659・77u(祇園甲部歌舞練場敷地全体1万4452・43u)。景観地区は歴史遺産型美観地区、祇園町南歴史的景観保全修景地区、高度地区は12m第4種高度地区。
 計画概要は、S造+RC造+SRC造地下2階地上7階建、延1万0739・90u(うち躯体保存部1821・71u。建築面積1833・98u)。建物高さは30m。
 設計は大林組大阪本店一級建築士事務所、施工は大林組。
 弥栄会館の活用により祇園甲部歌舞練場耐震改修の資金調達を行う。なお学校法人八坂女紅場学園(京都市東山区)が祇園甲部歌舞練場耐震改修工事を進めている。設計・施工は大成建設関西支店(大阪市中央区)。
 景観審査会では、諮問案件の学校法人光華女子学園光華小学校建替計画、事前協議の足立病院施設整備事業についても審議(次号掲載)、また「新景観政策の更なる進化 地域のまちづくりの推進と特例制度の活用」について報告した。