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北陸工業新聞社
2020/12/16

【福井】工大が衛星地上局を再整備/口径16.5mの高性能アンテナなど/JAXAと共同研究契約

 福井工業大学(掛下知行学長)は15日、記者会見を開き、高性能パラボラアンテナを用いた月探査用衛星地上局を開発するとともに、JAXA宇宙科学研究所と共同研究を実施すると発表した。
 共同研究の題目は「口径16・5メートル高性能パラボラアンテナを用いた、月探査用衛星地上局の開発と性能実証」。11月26日付けで共同研究契約を締結しており、研究期間は23年3月31日まで。
 会見には掛下学長(宇宙研究推進本部長)、青山隆司電気電子工学科主任教授(宇宙研究推進本部副本部長)、中城智之電気電子工学科教授(共同研究代表者)が出席したほか、リモートでJAXA宇宙科学研究所の藤本正樹副所長、冨木淳史宇宙機応用工学研究系准教授(共同研究代表者)も参加した=写真上・下。
 福井工大では、あわらキャンパスにある高性能衛星地上局を活用し、03年から本格的に衛星データ利用に関する研究を行うなど、宇宙に関連して様々な研究を展開。今回、新たに「宇宙研究推進本部」を設置し、「ふくいPHOENIXハイパープロジェクト」として、これまでの活動をさらに大きく発展させていくことになった。
 計画によると衛星地上局を再整備し、大学・民間では国内唯一の月軌道までの衛星運用が可能な衛星地上局を構築。具体的には、月軌道までの衛星との通信を可能とするため、より高性能な口径16・5メートルパラボラアンテナシステムを新規整備。同時に、地球周回衛星の運用を目的とする口径3・7メートルパラボラアンテナによる衛星運用システムも新たに整備する。
 16・5メートルアンテナは22年夏頃に、3・7メートルアンテナは22年3月をめどに設置を完了予定。事業費としては16・5メートルアンテナの整備で10億円強を見込んでいるという。
 多様な衛星データの活用を通して、環境保全や地域の産業振興に貢献したい考え。また、教育課程において、学生と共にプロジェクトを推進していくことを通して、福井の次世代を担う人材を育成するほか、積極的に情報発信を行い、若い世代の夢を育むことで、福井県のさらなる活性化に貢献したい意向。
 なお、性能実証は21年に打ち上げ予定の地球―月ラグランジュ点探査衛星「エクレウス」の運用に参画して実施する。

大型パラボナアンテナ1
口径/16.5m
設置場所/あわらキャンパス
周波数/S帯およびX帯における送受信
〈特徴〉
月軌道(38万km)付近までの衛星運用が可能

小型パラボナアンテナ1
口径/3.7m
設置場所/あわらキャンパス
周波数/送信(S帯)および受信(S帯およびX帯)
〈特徴〉
地球周回衛星の運用が可能

hokuriku