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建通新聞社(神奈川)
2020/12/17

【神奈川】県県土整備局 流域下水道新ビジョンで素案

 神奈川県県土整備局は、今後10年間の主要施策と収支見通しなどを示す「神奈川県流域下水道事業経営ビジョン」の素案をまとめた。2021年度から30年度までを期間とし、約300カ所を厳選した設備の改築更新、汚泥処理設備の更新に合わせた集約処理、下水処理場のネットワーク化などに取り組む内容だ。期間中の建設改良費は年度平均で85億円を見込んでいる。計画の策定・公表は21年3月の予定。
 新たなビジョンは、現行の「神奈川県流域下水道中期ビジョン」を改定するもの。流域下水道事業が今年4月へ公営企業会計に移行したことを踏まえ、経営の視点を強化させる。
 主要施策のうち、老朽化対策では、改築更新を重点化する。耐用年数を超える機械・電気約1300設備の中から、約300設備(相模川約250設備、酒匂川約50設備)を厳選し、改築更新に取り組むとしている。
 酒匂川流域下水道では汚泥処理施設の改築更新に合わせた集約処理を実現する。具体的には、更新時期を迎えた酒匂水再生センターの焼却炉1基を改築し、さらに扇町水再生センターからの送泥管を整備することで、30年度の集約処理開始を目指す。
 災害対策としては、必要な施設の耐震化を期間内に完了させる。処理場に下水を取り込み、処理、消毒、放流に関わる約100施設のうち、耐震化していない約30施設(相模川、酒匂川の各15施設)で対策を講じる。また、津波への備えとして、相模川流域下水道柳島水再生センターで放流口からの逆流を防止するゲートを設置する計画だ。
 下水処理場のネットワーク化に向けては、寒川平塚幹線の工事に着手する。相模川流域下水道の左岸幹線と右岸幹線をつなぎ、災害時の相互融通機能を確保するためで、30年度までの整備完了を目指す。同幹線の供用後は、柳島水再生センター(左岸処理区)と四之宮水再生センター(右岸処理区)の下水流入量を調整することにより、水処理施設の大規模な改修が可能となるという。
 また、地球温暖化への対応として、設備の改築更新に合わせた省エネ機器導入を積極的に行っていく。対象はエネルギー消費の大きい焼却炉や水処理設備など。
 県の流域下水道のうち相模川(流域関連市町9市3町)は1969年度に事業着手。幹線管渠の計画127・9`中、126・3`が整備済み。一方、酒匂川(流域関連市町3市7町)は73年度の事業着手後、幹線管渠計画55・6`のうち46・3`の整備が完了している。

提供:建通新聞社