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建通新聞社(中部)
2021/01/15

【岐阜】県耐震改修促進計画第3期改定案 耐震化率95%へ

  岐阜県は、耐震改修促進計画第3期改定案を明らかにした。県民意見を聴取した内容を反映して3月末までに決定する。3期計画は2021年度から25年度までの5カ年で、25年度までの目標値として住宅の耐震化率を12%引き上げるととともに多人数が利用する建築物の耐震化率を7%引き上げる目標を掲げた。
 岐阜県の住宅の耐震化率の現状は、18年に国土交通省が発表した住宅・土地統計調査を基にした数値によると、総住宅数75万戸のうち新基準建築物の住宅は53万1000戸、旧耐震基準建築物の住宅は21万9000戸ある。
 このうち、すでに耐震化されている住宅は61万9000戸(耐震化率約83%)で、残る13万1000戸が耐震性が不十分な住宅となっている。この耐震化率を25年度までに12%(93000戸を耐震化)引き上げ95%とする目標とした。
 一方、多人数が利用する建築物については、総数が6803棟あり、20年3月時点で、新基準建築物が4232棟、旧基準建築物が2571棟となっている。
 このうち耐震化されている建築物は6007棟(耐震化率約88%)で、残る769棟の耐震性が不十分となっている。この耐震化率を7%(456棟)引き上げ95%とする目標とした。
=耐震化率の伸び悩み経済的負担がネック=

 いずれの建築物も第2期の耐震化率の目標を95%としていたが、住宅が約83%、多人数が利用する建築物が88%でとどまっている。
 耐震化率が進まない理由として、20年10月に行った県内市町村のヒアリングによると、42市町村中23市町村が経済的負担を主な要因としており、所有者側の経済事情や改修工事費が高いことなどの意見が多いという。
 また高齢者世帯のみの増加や家族構成の変化による住宅継続利用の未決定や災害意識の希薄さなどが要因となっているようだ。
 耐震改修率については、05年の段階で住宅が約65%、多人数が利用する建築物が約72%だった。同計画が初めて07年3月に策定され、13年度には、住宅が約78%、多人数が利用する建築物が約86%と大幅に伸びている。その後2期(20年度末)にはどちらの建築物も95%とする目標を掲げたが、住宅で2%、多人数が利用する建築物で5%の伸びでとどまっている。
 第2期までは、耐震性を把握するため、耐震診断に重点を置き、診断報告の義務付けや啓発、補助を進めてきた。第3期では「診断」から「耐震化」への取り組みを強化し、耐震化率を2期の目標としていた95%に引き上げる考えだ。
 重点的に耐震化を進めるのは、全ての既存耐震不適合建築物が対象となり、特に一定規模以上で多人数が利用する要緊急安全確認大規模建築物や防災拠点施設、緊急輸送道路沿道建築物の全所有者に対し改修を促進させる方針とした。

提供:建通新聞社