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北陸工業新聞社
2021/01/20

【福井】日光産業と高専3者共同で/橋梁の老朽化対策伸縮装置に着目/福井県工業技術センター/メンテナンス性を向上

 福井県工業技術センター(福井市川合鷲塚町)は、橋梁の老朽化対策として、伸縮装置に着目し、このほど試作品を完成させた。
 今回の研究は、日光産業(福井市)と、福井工業高等専門学校(鯖江市)、および県による、産学官連携の共同研究が結実した。
 インフラの老朽化対策の一環として、福井県建設技術公社が設ける、「産学官共同研究支援事業」を活用。19年2月から開始した。
 内容は、橋梁が損傷する原因の一つ、伸縮装置からの漏水に着目した。その装置を容易に、更新または補修ができるよう、優れたメンテナンスを目指して開発。経済的かつ効率的な維持管理の補修構造を目指している。
 橋梁の伸縮装置は、橋梁の路面端部に設置され、気温変化による橋梁の伸縮に対応し、地震時や、車両の通行にともなう橋梁の変形を吸収する役割。自動車や人、自転車が支障なく通行できるようにするもの。損傷や劣化が進むと、橋梁上面から雨水や土砂、ゴミなどに加え、冬季には散布された凍結防止剤が侵入する原因にもなるとされる。侵入した防止剤が下部構造の上面や、支承周辺に体積。主桁の端部が頻繁に湿潤したり、凍結防止剤の塩分が残留しやすくなり、鋼材の腐食や、コンクリートの損傷にもつながり、橋梁の健全性の低下を招くと指摘されている。
 従来の補修では、伸縮装置周辺のコンクリートを取り壊し、新しい装置に、すべてを交換することが一般的とされる。そのため、通行規制が長くなったり、比較的損傷が少ない部分でさえも交換が迫られたり。橋梁の下面に、足場を組む必要性など、大掛かりな工事になりがちという。
 そこで、今回開発した、新しい伸縮装置においては、脱着式を採用した。そのため、装置内部の損傷部を特定しやすく、メンテナンス性が飛躍的に向上。損傷の程度に応じ、短い期間で、かつ安価に補修できる形状に。補修工事を加速させて、道路交通における一層の安全・安心の確保にむけるとしている。
 今後は実用化へ、県内の橋梁を対象に、施工試験を実施する。その中で、施工性や耐久性等の検証を行う。
 なお、今回の研究成果は、県建設技術公社・産学官共同研究ホームページで公開している。アドレスは、https://www.fk−kosha.or.jp/koueki/iag.asp。

hokuriku