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建設経済新聞社
2021/03/01

【京都】伏見の向島中学校跡地活用 若い世代の移住の受け皿に 働く場、医療・福祉充実も

 京都市は、伏見区の向島ニュータウンの活性化に向け、市営住宅ストックの新たな活用の取組を進めるとともに、その取組を他地域にも広げる考え。また小中一貫校の整備で生まれた学校跡地の活用も進める。
 2月25日の2月市会の代表質疑で、向島ニュータウンの市営住宅ストックの有効活用と向島中学校の跡地活用について、門川大作市長が答弁した。
 門川市長は「向島ニュータウンまちづくりビジョンに基づき取組が大きく進み、まちの姿が着実に生まれ変わりつつある」と現状認識を示し、「向島秀蓮小中学校の開校を機会に、若い世代の関心も一気に高まってきている。この機運をとらえ、まちの活性化を更に加速する貴重な財産が向島に4257戸ある市営住宅と小中一貫校の整備で生まれた学校跡地」と述べ、市営住宅と学校跡地を向島ニュータウンの活性化に向けた貴重なストックと位置付けた。

市営住宅の空き家を活用
他地域でも取組み普及へ

 門川市長は「まず市営住宅については、地域の理解と協力のもと、市営住宅の空き家を転用し、障害者グループホームが4月に開所する。市営住宅はセーフティーネットの役割を果たしつつも、固定観念にとらわれず、そのストックをまち全体のために活用すべきとの方針のもと、今後ともこの事例を参考に他の地域への普及を図っていく」「次に学校跡地のうち、向島二の丸小学校跡地はアフリカ支援100年構想に基づき、教育・研修施設の整備が決まっており、向島中学校跡地は地域の活力やコミュニティを支える若者、子育て世代の移住・定住の受け皿となる住宅整備にも適した土地であり、住まいの近くで働ける場の創出や、高齢者なども安心して暮らせるまちとして、地域の求められる医療・福祉の充実も含め、地域の発展、魅力創出に資するように活用したい」「都市計画による規制の戦略的な見直しも含め、向島ニュータウンの活性化の取組を地域とともにスピード感を持って進めていく」と方針を述べた。
      ◇      
 伏見区の向島ニュータウンは、京都市が施行する新都市として昭和46年に計画決定され、昭和52年にまちびらきし、入居が開始された。面積は約74・7fで、京都市住宅供給公社が施工。建設戸数は6565戸(市営住宅4257戸、UR賃貸住宅624戸、分譲住宅(高層)1441戸、分譲住宅(戸建)243戸)。近鉄向島駅東側付近から、概ね時計回りに第1街区〜第11街区となっている。
 小中一貫校の整備で生まれた学校跡地活用について、向島二の丸小学校跡地(伏見区向島二ノ丸町151、敷地面積(公簿)1万4302・51u)を一般財団法人あしなが育英会(東京都千代田区)が京都市から定期借地して既存校舎や体育館などを改修するとともに、一部新築して寄宿舎等を整備する計画。
 あしなが育英会と向島5学区、京都市の三者は令和元年12月、跡地活用計画の合意に関する覚書を締結した。
 これまでに明らかになった計画概要によると、既存建築物は4階建(北・南校舎が4階建、東校舎が3階建、体育館が平屋建)、新築建築物は平屋建。計画部分は延約1550u(建築面積約2550u)、既存部分は延約7500u(建築面積約2580u)。全体規模は合計4階建(高さ約15m)、延約9050u(建築面積約5130u)。
 主な内訳は▽学生寮=約4400u▽研修室=約350u▽事務室=約230u▽食堂=約630u▽図書スペース=約110u▽展示スペース=約250u▽体育館=約640u▽職員宿舎=約1150u−。
 敷地北側の向島中央公園に面するエントランス広場は、施設利用者や地域住民にとっても身近な居場所となるように計画。既存の体育館を活用し、地域にも開放できる施設として整備する。駐車場は約10台。
 向島中学校跡地(伏見区向島二ノ丸町151−55。平成31年3月に閉校)は、「むかちゅうセンター」として、跡地地元利用運営委員会が主体となって、まちづくり活動等に暫定的に利用されている。