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建設経済新聞社
2021/03/16

【京都】名勝無鄰菴庭園など本格修理 令和7年度以降工事に見直し

 京都市は、左京区南禅寺草川町の名勝無鄰菴の本格修理工事について、市財政の危機的な状況を踏まえ、全体スケジュールを見直す。
 当初は、令和2・3年度に保存活用計画策定、令和3・4年度に整備計画策定、令和4年度に基本設計・実施設計、令和5・6年度に本格修理工事としていたが、令和3年度から5年度までの3年間が市財政の集中改革期間に位置付けられたことから、令和5年度までは基本設計・実施設計に入らないよう全体スケジュールを見直す。
 変更後は、令和2・3年度に保存活用計画策定、令和4・5年度に整備計画策定、令和6年度に基本設計・実施設計、令和7・8年度に本格修理工事を予定する。
 無鄰菴は、明治27年〜28年頃にかけて築造された、明治の元勲、山県有朋の京都の別邸。昭和16年に山県家並びに無鄰菴保存会から京都市へ寄贈され、昭和26年には国の名勝指定を受けた。
 無鄰菴の建築群は築120年を経て老朽化が進んでいることから、耐震補強を含めた本格修理事業を行う。また庭園も明治29年に作庭されて以降、これまで本格修理を実施した記録がないことから、無鄰菴の庭園と建築の適正な保存活用を図るため、名勝無鄰菴庭園の保存活用計画を策定する。
 令和2年度事業の「京都市市有建築物耐震診断業務委託ただし、名勝無鄰菴庭園の建造物に係る耐震診断及び概略補強計画策定業務委託」は公募型プロポーザルで日建設計大阪オフィス(大阪市中央区)が受託し担当。
 地盤の支持力を把握するための「無鄰菴本格修理事業用地における地質調査業務委託」は入札により、近畿地質センター(京都市伏見区)に委託し実施済み。
 W造の3棟については、耐震予備診断を母屋は平成26年度、茶室と管理人棟は令和元年度に実施した。
 耐震補強の方針によると、母屋は室内から庭園の眺望を損なわないものとし、茶室は茶室の意匠を損なわないものとし、管理人棟は外観を損なわないものとし、洋館は外観及び室内の意匠、形状、仕様などを保存する。
      ◇      
 無鄰菴の主な建物は、▽母屋(W造2階建、延376・85u)▽茶室(W造平屋建、38・67u)▽管理人棟(W造平屋建、35・04u)▽洋館(レンガ造一部W造2階建、延155・36u)。