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建通新聞社(東京)
2021/03/19

【東京】都財務局 下請契約を実態調査

 東京都財務局が行った都発注工事での下請契約の実態把握調査結果によると、二次下請以降も含めた全ての下請負人に社会保険の加入状況を確認している元請負人は91%にのぼることが分かった。社会保険などへの加入促進を図る上で重要となる法定福利費の別枠計上については、「下請負人から交付される見積書に経費の内訳が明示され、法定福利費が別枠計上されている」とした回答が70%だった。調査項目全体としてはおおむね適正な契約関係が構築されている一方で、契約内容の追加・変更が生じた際の契約を工事着手後に結ぶなど、元請負人の理解が十分でないと見られる項目もあった。
 調査は2019年度に財務局が契約事務を行ったうち、工期末が21年1月以降となる全ての工事の元請負人242事業者に行った。回答率は約85%(206事業者)。
 調査結果によると、社会保険などへの加入状況の確認については、「全ての下請負人に確認している」と答えた元請負人は91%。「少なくとも自らが契約している下請負人を確認している」は8%で、両者を合わせると99%に達した。
 また、31%の元請負人が「未加入事業者の現場入場を禁止している」と回答。「未加入事業者がいた場合に指導をした上で、猶予期間を設けて加入を求めている」も44%あった。一方で「加入指導はしているが、加入の有無は下請負事業者に任せている」が22%、「特に対応はしていない」との回答も3%あった。
 改正建設業法では、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう配慮を求めている。元請負人のうち、「下請代金を全額現金で支払っている」と答えたのは57%、「少なくとも労務費相当分は現金で支払っている」とした元請負人は31%で、両者を合わせると88%だった。

 《工事内容・工期以外の見積条件提示は不十分な傾向》

 見積依頼に当たっての見積条件の提示については、契約書に記載すべき14項目のうち請負代金の額を除いた13項目について、できる限り具体的な内容を提示する必要がある。ほぼ全ての元請人が工事内容と工期の項目を提示している一方で、それ以外の11項目は低水準にとどまった。
 特に、▽各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金▽工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め▽天災その他不可効力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め▽契約に関する紛争の解決方法―などの項目を提示している元請負人は40%以下だった。
 また、契約内容に追加・変更が生じた際の追加・変更契約の締結の時期は工事の着手前までに行う必要があるものの、34%の元請負人が「着手後に締結している」と回答した。
 都から請負代金の出来高払いまたは竣工払いを受けた際、該当部分を施工した下請負人に対して、下請け代金を1カ月以内に支払っているかどうかの質問では、元請負人の66%が「2週間以上1カ月以内に支払っている」と回答し、「2週間以内に支払いを済ませている」とした元請負人も19%いた。
 一方で、支払期間を「1カ月以上」に設定している元請負業者も18%いる状況が明らかになった。

提供:建通新聞社