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建通新聞社(東京)
2021/05/28

【東京】都 中央図書館、施設整備等構想を年度内

 東京都教育庁は中央図書館(港区)の施設整備の方向性などを盛る基本構想を2021年度内に策定する方針だ。老朽化対策のみならず、情報技術の進展や社会ニーズの変化を見据えて今後求められる図書館の機能や施設内容、運営などを長期的な視点で整理していく。このうち施設整備の方向性を機能や立地、費用面などから比較検討するため、コンサルテーション業務の委託先を6月に決めて作業をスタートさせる。
 中央図書館(港区南麻布5ノ7ノ13、敷地面積9157平方b)は有栖川宮記念公園内に1972年に完成した。規模は鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄筋コンクリート造地下2階地上5階建て延べ2万3196平方b。
 蔵書数は国内の公立図書館では最大級の約210万冊を所蔵し、このうち約36万冊を開架している。閲覧席数は約900席。地下に書庫があり、地上階には閲覧室の他、企画展示室や多目的ホール、カフェテリアなどの機能を備える。
 建物・設備の両面とも老朽化が進んで雨漏りや冷暖房の不調などが発生しており、必要最低限の改修・設備更新などでしのいでいる状況だという。
 社会状況が変化する中、都立図書館が担う役割をソフト・ハードの両面から考えようと、都教委は「都立図書館在り方検討委員会」を設置。今年3月に得た最終報告によると@デジタル技術を駆使したサービスの充実Aデジタル資料を含む特色あるコレクション・利用促進B東京の図書館ならではの施設・運営の追求―の観点から、都立図書館の新しい機能を検討するよう求めている。
 このうち施設整備に関しては、形態や立地を幅広い選択肢から比較検討。単館の他、複合施設への入居や収蔵庫の分離、サービスポイントの設置などを例示しつつ、アクセス性や災害リスクなどへの考慮も必要とした。
 紙の蔵書だけでなく今後はデジタルコンテンツの流通量拡大が予想されることから、大量の電子資料データを安定的に保存・提供できる環境の整備も必要になるとしている。
 これらを基に、中央図書館の施設整備の方向性を練るコンサルテーション業務を委託することとし、5月27日に希望制指名競争入札を公示した。都市計画・交通等計画BまたはCの有資格者から6月1日まで希望申請を受け付けて、6月17日に開札する。22年3月25日納期で成果をまとめてもらう。
 委託業務では都が示した方向性について法務と建築・設備、運営、費用の観点から検証し、改善案を示す。必要延床面積と立地・敷地条件の他、収蔵機能を別々にする分離施設型または一体型施設にした場合の工事費とランニングコストを比較した上で、納期に先行して7月中旬までに報告し、都が22年度以降の予算要求に役立てる。
 運営手法は民間活力の導入も視野に入れ、手法ごとに費用面を含めたメリット・デメリットを整理する。提供:建通新聞社