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建通新聞社(東京)
2022/03/31

【東京】都の知事部局工事、不調率11%台に改善

 東京都財務局のまとめによると、2020年度に開札した知事部局発注工事の不調率は財務局契約、各局契約ともに11%台で、いずれも前年度を下回って改善した。入札契約制度改革の試行期間中(17年6月26日・10月30日〜18年6月24日公表ベース)の17〜20%台をピークに改善傾向が続いている。また、平均落札率は財務局契約が93%台、各局契約が92%台となっており、財務局契約については過去5年間にわたって93%台で推移している。入札契約制度改革の本格実施(18年6月25日)から約3年がたった状況を分析した。
 不調率の推移を見ると、財務局契約は16年度(改革前開札ベース)の9・9%から試行期間中(17年6月26日〜18年6月24日公表ベース)に17・6%まで上昇。本格実施後(18年6月25日〜19年3月31日公表ベース)に14・4%、19年度(開札ベース)には13・3%へと徐々に下降して、20年度(開札ベース)は11・4%となった。
 各局契約も16年度の11%から試行期間中(17年10月30日〜18年6月24日公表ベース)に23・2%まで上昇。本格実施後は16・7%にいったん下降したものの、19年度に19・5%へと再び上昇した。20年度は11・6%とほぼ16年度の水準まで下降している。
 平均落札率については、財務局契約が16年度と20年度の93・2%から本格実施後の93・7%までの間で推移。各局契約については16年度の90・9%が最低、試行期間中の93・5%が最高で、本格実施後に92・6〜92・7%へ下がって20年度は92%となった。
 また、試行の段階から取り入れたJV結成義務の撤廃(混合入札の導入)に伴って、平均希望者数は単体・JVともに年々増加傾向にある。その中で、JVが落札する割合は試行期間中が14・9%、本格実施後が20・7%、19年度が16・4%、20年度が20%と時期によってばらつきが見られた。
 混合入札による中小企業の受注状況は、件数ベースで16年度の65・3%から20年度は53・3%へと下降。反面、受注金額ベースでは16年度の34・2%から20年度は40・5%と上昇している。
 この他、低入札価格調査に関しては、本格実施後に失格率100%の状態が続いている。失格の理由は調査票の未提出が半数以上を占め、次いで数値的失格基準への該当が多かった。
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 都が18年6月に始めた入札契約制度改革の本格実施では、予定価格の事後公表を原則としつつ、予定価格が一定額を下回る案件(建築4・4億円未満、土木3・5億円未満、設備2・5億円未満)は事前公表することとした。
 JV結成義務は撤廃して混合入札を導入。一方、総合評価落札方式の適用案件では中小を含むJVを結成した場合の加点幅を引き上げるとともに、都内中小とのJV結成を入札参加条件とする「技術者育成モデルJV工事」を用意した。
 低入札価格調査制度は予定価格が一定額以上(建築4・4億円以上、土木3・5億円以上、設備2・5億円以上)の案件に適用し、これを下回る案件については最低制限価格制度の対象とした。
 本格実施前の試行の内容は▽1者入札は中止▽予定価格は全て事後公表▽JV結成義務は撤廃―だった。その結果、入札の中止や不調の多発、低入札価格調査での失格が相次ぎ、事業執行の遅れが発生。入札監視委員会の提案や業界の意見を踏まえ、1者入札を認め、予定価格は事後公表と事前公表を使い分ける形に見直して本格実施に踏み切った。提供:建通新聞社