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建通新聞社(東京)
2022/05/11

【東京】都 「都民の城」への改修断念

 東京都は「旧こどもの城」の建物を「都民の城(仮称)」に改修する計画を断念した。新型コロナウイルス感染症の医療施設として臨時に使用しており、実施設計や工事のめどが立っていない他、周辺にある都有地との一体的な活用を想定する中で、改修・供用しても数年後には解体しなければならないため。今後、有識者と行政を交えた新たな検討組織を立ち上げて、都有地の一体的な活用に向けた将来像や用途などを議論していく。
 都は2015年3月に閉館した旧こどもの城(渋谷区神宮前5ノ53ノ1)の建物を都民の城に改修するため、20年2月に基本計画を策定。周辺にある都有地との将来的な一体活用を念頭に改修を施し、23年度にオープンして暫定利用した後、最短で29年に解体することを考えていた。
 ただ、21年8月から新型コロナの酸素・医療提供ステーションとして臨時に使用しており、同年10月に基本設計を終えたものの、実施設計に着手できない状態が続いていた。また、新型コロナの流行を経て、基本計画の策定時から都民の生活意識や行動が変化していることや、都有財産の有効活用を図る観点などを踏まえ、改修を断念して周辺都有地との一体的な活用を本格的に検討することになった。
 一体活用する都有地の対象は、旧こどもの城に▽都職員共済組合青山病院跡地▽国連大学▽コスモス青山―を加えた計4カ所で総面積4・5f。まちづくりの大きな方向性を練っている「神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議」(座長=中井検裕東京工業大学大学院教授)が4月25日の会合で、旧こどもの城を計画通り改修する場合と中止する場合を比較検討していた。
 都が当日の会合に示した想定スケジュールによると、改修しない場合は酸素・医療提供ステーションの臨時使用が終わり次第、早ければ25年に解体が可能で、他の3敷地の状況も踏まえると33年ごろには一体活用が可能になるとした。有識者会議メンバーの意見もライフサイクルコストなども含め改修しない案に優位性があるとの見方が多くを占め、「『都民の城』の目標であるダイバーシティの実現に向けた複合施設≠ニいう理念は残しつつ、改修せずに実現していく形が望ましいのでは」との声が上がっていた。5月17日の最終会合で方向性をまとめる。

《新たに「まちづくり検討会」設置》

 都は有識者会議の終了後、新たに「神宮前五丁目地区まちづくり検討会」を設置する。有識者会議に参加した委員の他、都と渋谷区も行政委員として加わり、都有地の将来像や用途、空間形成といった実務的な議論をスタートさせる構え。初会合の日程は決まっていないものの、23年度末ごろまでに6〜7回程度の開催を考えているもよう。提供:建通新聞社