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建通新聞社(東京)
2022/05/27

【東京】都 公園便所の設計、1円で落札

 東京都の建築設計委託を巡って「1円落札」が発生した。建設局東部公園緑地事務所が入札手続きを進めた上野恩賜公園6号便所の設計で、希望申請した69社のうち15社を指名して5月19日に開札。1円で応札した一級建築士事務所堀直樹・安田朋子建築設計事務所(練馬区)を落札者に決めた。事後公表の予定価格は371万2000円(税抜き)。都が設計などの入札で最低制限価格制度の試行を全庁展開する中、今回の案件には適用していなかった。
 都は「設計等委託」(建築設計、土木設計、設備設計、測量、地質調査)の入札で最低制限価格制度の試行を順次拡大している。2020年10月に財務局契約案件で試行をスタートし、21年10月には試行の範囲を全庁に展開。各部局が適用案件を選んでいる。
 財務局は「公共工事品確法の趣旨(ダンピング防止などの発注者責務)を踏まえて、手順を踏みながら順次、最低制限価格制度を拡大していきたい」と説明。各部局に対しても随時、適用案件を増やすよう指示している。
 ただ、いまだに落札率が著しく低い案件が散見される状況。試行を全庁展開する前の21年7月には、消防署所の改築設計2件でそれぞれ入札価格が予定価格の6・9%、23・9%だった参加者を落札者とした。
 また、2010年代初頭に都営住宅の設計委託先選定で1円を含む低価格受注が頻発。担当部局が基本設計と実施設計の分割発注を一括発注にしたり、発注方式にプロポーザルを導入したりした経緯もある。
 本紙の調査では、都が20年度に入札するなどした設計等委託の平均落札率は63・36%。業種別に見ると建築設計が59・36%、設備設計が67・49%、土木設計が64・60%、測量が66・85%、地質調査が59・91%で、建築設計の平均落札率が最も低い。
 今回設計委託した上野恩賜公園6号便所(台東区)は、公園北端の奏楽堂周辺にあった旧施設(解体済み)の老朽化などを踏まえ、誰でもトイレや防災機能を備えた鉄筋コンクリート造平屋50平方b程度の施設に建て替える計画。基本・実施設計を一括し、23年2月28日の履行期限で成果を得る。23年度の工事を予定している。
 建設局では今後、建築設計の入札で最低制限価格制度の適用を増やしていく予定だ。提供:建通新聞社