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建通新聞社(東京)
2022/08/02

【東京】都 豪雨対策基本方針を改定へ

 東京都は、将来的な気候変動の影響を踏まえて豪雨対策基本方針を改定する。降雨量の増加を想定して、被害を防ぐべき「目標降雨」の見直しを検討するとともに、河川・下水道整備や流域対策、まちづくりなどの観点から、必要な施策と対策を強化すべきエリアを挙げてこれまでの取り組みの加速とレベルアップを図る。これに向け、有識者で構成する検討委員会を新設し、8月1日に初会合を開いた。全5回の会合を通じて2023年度内に最終報告を得て、基本方針案をまとめる。
 都はこれまで、現行の豪雨対策基本方針(14年度改定)と豪雨対策アクションプラン(19年度策定)に基づいて総合的な治水対策を進めてきた。近年の気候変動による降雨量の増加や海面上昇、台風の大型化といった変化を踏まえて取り組みを加速・強化する必要があることから、「豪雨対策検討委員会」(委員長・山田正中央大学研究開発機構教授)を設置して議論を開始した。
 初会合では、都が前提条件を説明。世界の平均気温が2度上昇する場合の気候変動シナリオを想定して、降雨量の増加や降り方の変化、海面上昇などに伴う影響について整理するとした。また、現行の豪雨対策基本方針に定める「年超過確率20分の1」の水準は維持しつつ、区部時間75_・多摩部時間65_に設定している目標降雨と目標年次を見直す考えだ。
 その上で、河川・下水道整備や大規模地下街の浸水対策といったハード面について、より効果的な対策や手法を練るとともに、流域治水関連法の趣旨を踏まえた国・区市町村・民間との連携策と役割分担などのソフト面も検討する。
 検討委員会での議論と並行して、基本方針改定に伴う調査業務の委託先を決める希望制指名競争入札を8月31日に開札する予定。検討会の運営を担うとともに、各施策の具体案などを24年3月19日までの履行期限でまとめる。
 この他、都は22年度末に「都市強靱化プロジェクト(仮称)」を策定して、気候変動に加えて震災や火山噴火、感染症などを含めたあらゆるリスクから都民を守るための施策を示す方針。また、6月には「気候変動を踏まえた河川施設のあり方検討委員会」を立ち上げており、中小河川流域の洪水対策と低地河川地域の高潮対策を23年度内にまとめる予定。これらの内容も基本方針案に反映していく。提供:建通新聞社