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建通新聞社(東京)
2023/10/12

【東京】都 ECIを初試行 善福寺川上流調節池

 東京都は善福寺川上流調節池(仮称)工事でECI方式の技術協力・施工タイプを試行する。杉並区内に延長約5・8`の地下トンネル式調節池を築造する内容で、地上の道路幅員に合わせてトンネル内径を7・5〜9bと変える必要があることから、親子シールド工法を採用する方針。大口径・大深度で急曲線施工が多いといった条件も踏まえ、詳細設計の段階から施工者のノウハウを活用する。都がECI方式を試行するのは今回が初めてで、財務局が10月11日に技術協力業務に関わる公募型プロポーザル手続き(WTO政府調達協定対象)を始めた。シールド工事の競争入札参加資格を持つ単体企業または2〜3者JVから10月23〜27日に参加申請書、12月4〜8日に技術提案書の提出を受け付けて、2024年1月31日に優先交渉権者を決定。同年2月下旬に委託費2000万円程度(税込み参考額、以下金額同じ)の技術協力業務を契約し、24年度内に成果を得る。価格などの交渉が成立すれば、1000億円程度を見積もる工事も25年度に優先交渉権者と契約を結ぶ。25〜35年度の10カ年での施工を想定している。
 善福寺川は杉並区善福寺の善福寺池から同区内を流れ、中野区境で神田川に合流する延長10・5`の1級河川。上流部での治水対策として所管の建設局が新たな調節池を整備する。
 環状8号線や青梅街道などの地下に内径7・5〜9b、延長約5・8`の調節池本管を親子シールド工法で構築し、30万立方bの貯留量を確保する。発進立坑を善福寺川緑地(杉並区成田西3丁目地内)に内径約20・5b、深さ約56・2b、到達立坑を杉並区立関根文化公園(同区上荻4丁目地内)に内径約14・6b、深さ約41・2bの規模で設置する。
 22年度末までの履行期間でパシフィックコンサルタンツ(千代田区)が基本設計を手掛けていた。10月中に詳細設計の委託先を決めて契約を結ぶ予定でいる。
 プロポの参加要件を見ると、単体とJV代表者には▽特定建設業許可▽土木一式の総合評定値1200点以上▽親子シールド工法と外径8・1b以上のシールドトンネル工事実績―などを求めた。
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 ECIは、発注者が最適な仕様を設定できない工事や仕様の前提となる条件の確定が難しい工事で、施工者の独自ノウハウや工法を設計段階から活用するもの。技術提案を基に選んだ優先交渉権者(施工者)と技術協力業務を契約し、同業務を通じて別途進める設計に提案内容を反映。並行して価格などの交渉を進め、成立すれば工事も優先交渉権者と特命随意契約する。
 都市部では施工ヤードが確保しづらいなど、厳しい条件下で高度な技術が必要とされる工事が増えているため、都でも試行を決定。23年4月に試行要綱を定めていた。提供:建通新聞社