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建通新聞社(東京)
2023/10/16

【東京】環境省検討会 北の丸公園の在り方報告書案

 環境省の「北の丸公園の利用の在り方に関する検討会」(座長・西村幸夫国学院大学観光まちづくり学部学部長)は10月12日の会合で、今後の施設整備の留意点などを盛る報告書案を議論した。報告書案では老朽化した基幹施設の改修や休憩所の充実、樹林景観の維持などを唱えるとともに、園内にある文化施設の建て替え・改修に際して都市計画などの規制を調整するとした。Park―PFIなどを取り入れた官民連携の検討にも言及している。2023年内に正式な報告書がまとまる見通しだ。
 北の丸公園(千代田区)は面積19・3fの森林公園。皇居外苑の一部で、1963〜68年に整備して69年に開園した。芝生地や池、落葉高木疎林、鳥類誘致林などを配置している他、日本武道館(64年開館)、科学技術館(64年開館)、東京国立近代美術館(本館69年建設、分室10年建設)、国立公文書館(71年完成)といった建物もある。2013年以降に年間約300万人が利用している。
 ただ、休憩所やベンチ、標識といった基幹施設の老朽化や樹木の劣化が進み、バリアフリー化や多言語標記も未整備。公園内外との連携も不足していることなどから、今年3月に有識者の検討会を立ち上げて、今後の利用の在り方を話し合ってきた。
 報告書案では、北の丸公園の森林公園としての機能や多様な文化施設の存在を生かし、外国人観光客を含むさまざまな人々が利用して、日本の魅力発信と観光全体にも貢献するとの「利用の基本方向」を提示。また、園内を▽中央部(中央園地)▽西部(千鳥ケ淵)▽北部(九段下)▽南東部(代官町通)―の4エリアに分け、中央部と西部は静謐(せいひつ)や生物の生息に配慮しながら自然に楽しむエリア、北部と南東部は文化施設を中心に一定のにぎわいを享受するエリアと定義した。
 今後の施設整備に関わる留意点を見ると、基幹施設は利用動線を考慮した上で現状の配置を見直し、老朽化したものを改修するなどして利用者の快適性と安全性を確保。ユニバーサルデザインに基づく整備で誰もが利用しやすくする。樹林は皇居と一体となった景観を維持するとともに、動植物の生育環境と公園利用に適した植生管理や、眺望に悪影響を及ぼしている樹木の剪定などに取り組むとしている。
 公園南側の入り口は竹橋方面や皇居東御苑から来園者を導く景観を創出できるよう、抜本的な改善を検討。標識・案内については外国人の利用を考慮して多言語化を進める。文化施設がある北部や南東部は飲食が可能な休憩所を充実してサービスの向上を図る。

【文化施設の建替え・改修=規制を調整 官民連携へPark―PFIも】

 文化施設の建て替え・改修に際しては都市計画などの規制を調整する他、跡地などが生じる場合には公園利用の活性化に有効活用されることが望ましいとした。また、公園内外からの眺望や既存施設などの高さに配慮するとともに、中央部や西部では大規模な土地の改変を避けるなどして、自然環境の保全・創出に努める。
 個々の文化施設にも触れて▽科学技術館=今後の改修・再整備で日本の文化、科学技術の発信機能を強化▽東京国立近代美術館の分室=重要文化財建造物として保存、公開などの利活用方法を検討▽国立公文書館(別地に新館建設)=一般利用・公園利用に供する利活用を検討―といった留意点を挙げた。
 官民連携を巡っては、公園の運営や施設整備、維持管理に生かす枠組みの重要性を指摘。Park―PFIの優れた事例なども取り入れながら、利用者の満足度の向上につながる取り組みが検討されるべきだとしている。提供:建通新聞社