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建通新聞社(東京)
2023/10/26

【東京】都 工水管を再利用 三園〜王子の送水管に

 東京都水道局は、三園浄水場(板橋区)と整備中の王子給水所(仮称、北区)をつなぐ送水管の新設に向け、残存している工業用水道管の再利用を検討している。主にパイプインパイプ工法で延長12`・内径1500〜800_の上水管を敷設する計画。実現可能性の調査を含めた基本設計の委託先を希望制指名競争入札で決めるため、土木設計の競争入札参加有資格者から10月30日まで希望申請を受け付けて、12月1日に開札する予定。履行期間360日で2024年度内に成果を得て、順調なら後続の実施設計につなげる。王子給水所が完成する32年度をめどに工事を進めたい考えだ。
 基本設計の区間は板橋区三園2ノ10地先の三園浄水場敷地内から北区王子5ノ2地内の王子給水所敷地内までの延長12`。都道447号赤羽西台線(高島通り)や区道、環状8号線、国道122号(北本通り)の道路下に工業用水道として利用していた内径2200〜2000〜900_のダクタイル鋳鉄管が残っており、この管渠の内部に内径1500〜800_の上水管を敷設する。工水管から分岐して王子給水所に接続する延長400b区間には内径800_の管渠を推進工法で新設する。
 基本設計を通じて工水管の再利用が可能かどうかを調べるとともに、上水管の運び入れなどに必要な立坑の設置場所を最長600b以内のスパンや曲がり角などで検討する。
 建設中の王子給水所は金町浄水場(葛飾区)と三郷浄水場(埼玉県三郷市)の2系統から受水して、北区の南側や荒川区の西側などに給水するための施設。いずれかの系統が工事などで使用できない場合を想定してバックアップ機能を確保するため、三園浄水場からも受水できるよう、工水管の活用を検討することにした。
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 都の工業用水道事業は1964年度に江東地区(墨田区、江東区、荒川区の全域と江戸川区、足立区の一部)で、71年度には城北地区(北区、板橋区、葛飾区の全域と足立区の大部分)で給水を開始。地盤沈下の沈静化という当初の目標を達成できた一方で、工場の移転や水使用の合理化などによって需要が減少したことなどから2022年度末で廃止した。
 残存している工水管は▽撤去▽道路陥没防止の安全対策▽上道管への転用―の3分類に分けて対策を施す方針。23年度から40年間でそれぞれ工事を実施する計画となっている。
 上水管に転用する管渠は主に500_以上の大口径管で、総延長58`が対象。パイプインパイプ工法を前提として23〜32年度に延長12`、33〜62年度に延長46`の上水管を整備する予定だ。提供:建通新聞社