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建通新聞社(東京)
2024/01/26

【東京】都建設局 総合評価等「原則適用」見直し

 東京都建設局は設計などの委託や工事の発注に際して、予定価格を判断基準に総合評価方式やプロポーザル方式を「原則適用」してきたこれまでの対応を改める。2023年度から委託にも最低制限価格制度を導入してダンピング対策を講じたことに加え、担い手を育成・確保する観点で受注機会を拡大したり、時間外労働の上限規制を控えて事務負担を軽減したりすることの必要性を求める声が、内外から上がっているため。各案件の内容に応じ、価格競争を含め適切な発注方式を選ぶ形へと見直す考えでおり、24年度の取り組み方針案に盛り込んで、1月25日の「建設局事業における公共工事の品質確保の促進に関するアドバイザリー会議」に示した。
 建設局はこれまで委託や工事の品質を確保する取り組みの一環として、予定価格によって総合評価方式やプロポーザル方式(委託)を「原則適用」するラインを設けてきた。
 ただ、各建設事務所の設計者・監督員にアンケートしたところ、予定価格で線引きしているために、価格競争での発注に問題がない委託や工事も総合評価方式の適用対象になることから、入札契約事務に負担を感じているという。また、業界団体からは、現行の総合評価方式は過去の受注実績に基づく評価に重点が置かれ、新規や実績がない事業者の落札が難しいとの意見が寄せられた。
 これらを踏まえ、案件ごとの内容に応じて総合評価とプロポーザル、価格競争の中から適切な発注方式を選択するよう見直す。選定に当たって技術的工夫の余地などを判断するフローチャートを作成することにした。
 担い手の確保・育成や事務負担軽減の面からは有効な一方で、品確法に定められた発注者の責務を果たすためには価格競争に偏りすぎないようにする必要もある。そこで24年度から試行的にスタートするとともに、国土交通省が実施している「チャレンジ型」の総合評価方式などを参考にしつつ、財務局と連携して課題や解決策を探ることにしている。
【ひとくちメモ】
 都建設局は委託の発注で総合評価方式を「原則適用」する基準を予定価格1000万円以上と定め、1000万円未満の場合でも土木設計に「原則適用」、測量と地質調査に「積極適用」している。また、技術提案の効果が高い場合と、土木設計の1000万円以上にはプロポーザル方式を「原則適用」してきた。23年度のこれらの適用率は土木設計が約60%、測量が約53%、地質調査が約71%だった。
 一方、工事の発注では財務局契約案件のうちWTO政府調達協定の対象に総合評価を「積極活用」するとともに、WTO以外の財務局契約案件で総合評価を「原則適用」してきた。23年度の適用率は約58%だった。提供:建通新聞社