建通新聞社が東京23区のスライド条項の運用状況を調査したところ、全ての区が請求があれば原則適用していると答えた。このうち20区が2024年度の適用件数を回答した中で、17区で合計183件の適用実績があった。適用したスライド条項の種類は15区がインフレスライド、新宿区がインフレスライドと単品スライド、葛飾区がインフレスライドと全体スライドだった。
各区の契約部署に運用状況を聞き取り調査した。受注者の請求額通りにならなかったケースはあるものの、請求があれば原則全ての案件でスライド条項を適用していると答えた。
24年度に17区で適用実績のあった183件の種類別内訳はインフレスライドが172件、全体スライドが10件、単品スライドが1件。区別に見ると中央区と品川区、足立区のそれぞれ19件を筆頭に、江東区の18件や杉並区の16件などが続いた。前年度に比べ件数が増えたのは新宿区や文京区、品川区など9区だった。
複数種類のスライド条項を適用した2区のうち、葛飾区の担当者は「これまで全体スライドの請求事例が多く、その傾向が変わっていない。ただ、インフレスライドの請求事例も出てきた」と状況を説明。また、24年度の適用実績がゼロの3区のうち、荒川区の担当者は「対象となる大型工事が少ないためではないか」との見方を示した。
一方、24年度の適用件数の回答がなかった3区も、23年度に▽台東区=11件▽豊島区=4件▽江戸川区=12件―の実績があった。
提供:建通新聞社