東京都は勝鬨橋(中央区)の長寿命化に伴う床版取り換え工事にECI(技術協力・施工タイプ)を採用する。4月21日に技術協力業務の委託先(工事の優先交渉権者)を選ぶプロポーザル手続きを始めた。鋼けたの都競争入札参加有資格者から5月12〜16日に申請書を受け付け、6月23〜27日で技術提案書の提出を求める。ヒアリングを経て9月10日に優先交渉権者を決め、10月中旬に参考費5000万円(税込み)の技術協力業務について契約を締結。2027年2月26日を履行期限に、別途委託する詳細設計に施工ノウハウを反映させる。優先交渉権者と価格などの交渉が成立すれば、27年度に7億4000万円程度を見積もる工事の契約を結び、29年度までの3カ年で施工する予定だ。
勝鬨橋は隅田川下流の中央区築地6丁目〜勝どき1丁目地内間に架かる晴海通りの橋梁。中央径間長51・6bのシカゴ型二葉式跳開橋と側径間長86bの下路式タイドアーチ橋で構成する橋長246b、総幅員26・3bで、1940年に竣工した。日本で最大の可動支間を持つ大規模かつ技術的完成度の高い構造物であり、2007年に国の重要文化財に指定された。
長寿命化では中央径間のパネル鋼床版の取り換えや、劣化損傷しているシェアーロックの緩衝装置の改修などを計画。ただ、歴史的な価値を損なわず要求性能を満たす必要があり、都や文化庁、有識者などで構成する検討委員会での審議を経て対策をまとめなければならない。また、終日3万5000台の交通量がある晴海通りを部分的に規制しながら安全かつ短期間に施工するため、交通管理者と協議を図りながら施工方法について詳細に検討することが求められる。
これらの課題に対して、発注者が最適な工事の仕様を設定できないため、ECIを採用して設計段階から施工者独自の高度で専門的なノウハウや工法などを生かす。基本設計を手掛けたエイト日本技術開発(中野区)と9月にも特命随意契約を結んで任せる詳細設計に、優先交渉権者の技術提案を反映させる。
勝鬨橋の長寿命化では塗装工事も行う。25年度は塗装面積9000平方bの「その5」の発注を予定しており、11月上旬にも公表する希望制指名競争入札(技術実績評価型総合評価方式)で施工者を決める考え。発注規模価格帯は7億円以上9億円未満、工期は260日となっている。
なお、都でのECIの採用は善福寺川調節池の整備に次いで2例目。
提供:建通新聞社