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建通新聞社(東京)
2025/05/22

【東京】関東知事会 ウオーターPPP要件化「慎重に」 下水道管改築の国費支援

 関東甲信など10都県の知事で構成する関東地方知事会は、国がウオーターPPPの導入を下水道管渠改築時の国費支援要件とすることに対して慎重な検討を求める。また、能登半島地震や埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、策定中の国土強靱化実施中期計画に上下水道の耐震化と老朽化対策を位置付けて、十分な予算を確保するよう要望する。5月21日に開いた2025年度の第1回定例会=写真=でこれらを含む各知事の提案事項に合意して、国へ要望活動を行う方針を決めた。
 当日の会合で上下水道に関する事項を提案した長野県の阿部守一知事は、「料金収入の減少、施設の老朽化、専門人材の不足など、上下水道事業の経営環境は厳しさを増している。耐震化や老朽化対策へ十分な対応ができているとは言えない」と主張。能登半島地震を踏まえた国の「上下水道地震対策検討委員会」の取りまとめ(24年6月)に基づき耐震化を加速させなければならないことから、「財政負担がますます大きくなる」と強調した。加えて、八潮市のような事故を未然に防ぐためにも、「維持管理や更新の在り方を見直すとともに、計画的に施設の更新を進める必要がある」と訴えた。
 これに関連して埼玉県の大野元裕知事は、「下水道管渠の補修や補強の工法はあるが、更新の工法は確立していない」と指摘。八潮市の事故については「3年前に点検をした際には他にもっとひどい箇所もあった。これまで40年間そういう状況になっていなかったのに、この3年間でいきなり(老朽化が)進んだ理由が全く分からない」と原因の究明に苦慮している状況を明かした。
 また、ウオーターPPPにも触れて「良いか悪いかは別として、民間の関与がより高くなる前に、誰が更新の負担をするのか決めておかないと、地方にしわ寄せが来る」と語り、長野県の提案に賛意を示した。
 ウオーターPPPを巡っては、国が23年5月に改定した「PPP/PFI推進アクションプラン」の中で、汚水管の改築に関わる自治体への国費支援について、27年度以降に導入を決定していることを要件化するとした。例えば自治体が27年度当初予算で交付金を得るには、26年度までに事業者選定に向けた募集要項などを公表している必要がある。提供:建通新聞社