首都高速道路会社は晴海線の延伸部で概略構造と施工法を検討する業務の委託先を選ぶため、5月28日に公募型プロポーザルの手続きをスタートさせた。シールドと開削で合計約1・8`の本線トンネルや新設出入り口2カ所の橋梁などの概略構造を考えるとともに、障害物撤去を伴うトンネル躯体の施工法を固めるのが目的で、税抜き業務規模は1億5900万円。橋梁設計の競争参加有資格者から6月12日まで参加表明書を受け付け、7月18日〜8月28日に技術提案書の提出を求めて審査を進め、9月18日の見積もり合わせを経て委託先と契約を結ぶ。540日の履行期間で成果を得て、事業化に向けた後続の展開に生かす。
晴海線は都心方面の中央区築地から臨海部方面の江東区有明に至る延長約4・5`の自動車専用道路。ルート中間の中央区晴海から湾岸線につながる江東区有明の東雲ジャンクション(JCT)までの約2・7`が暫定2車線の嵩上げ式(高架式)で開通しているものの、大半を地下式で計画する都心環状線側の築地〜晴海間は未着手となっている。
延伸を巡っては、東京都が24年度にパシフィックコンサルタンツ(千代田区)に業務を委託してルートや構造、出入り口の位置などを検討した。2030年代前半の事業着手と40年代前半の供用開始を目指している。
首都高による今回の業務では▽トンネル▽新設出入り口の橋梁▽既設街路橋の受け替え―についての概略構造と、障害物撤去を伴うトンネル躯体の施工法を検討する。
概略構造の検討対象を具体的に見ると、トンネルはシールド区間が延長約1100b・片側2車線の2断面、開削区間が延長約700bの片側2車線と片側1車線の各1断面。周辺の地盤条件や土かぶり厚を踏まえて路面覆工とトンネル躯体厚を検討する。
また、新設出入り口2カ所の橋梁のうち「晴海出入口(仮称)」は入り口が約250b、出口が約150b。開通区間の橋梁を上下4車線相当に拡幅する前提の下、出入り口を接続するための構造上の課題を抽出する。もう1カ所は東雲JCT付近で、入り口約410bと出口約390bの最適な形式を選ぶ。
既設街路橋の受け替えは、ルート上に位置する黎明橋(橋長88・2b、3径間連続RC床版桁橋)がターゲット。同橋の基礎が本線シールドトンネルと干渉するためで、これまで考えていた受け替え構造が成立するかどうかを確認しつつ、上・下部工の応力度を照査する。
一方、障害物撤去を伴うトンネル躯体の施工法は、晴海通りと清澄通りの交差点付近にある都営大江戸線・勝どき駅の先行土留中間杭が本線シールドトンネルに干渉することから検討。想定案と業務の中で練る代替案を比較して最適案を絞り込む。
首都高では別途、晴海線延伸部の線形やトンネル防災計画を検討する業務の委託先を公募型プロポーザル方式で選定中。6月27日に見積もり合わせして委託先と契約を結び、630日の履行期間で成果をまとめてもらうことにしている。
提供:建通新聞社