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建通新聞社(東京)
2025/07/04

【東京】関東地整 技術提案型ST型 全国初試行 東埼玉道路の橋梁下部工で

 国土交通省関東地方整備局は7月4日に一般競争入札を公告する「R7国道4号東埼玉道路(専用部)柿木第1号橋下部その1工事」で、全国で初めて「技術提案評価型ST型」(ST型)の総合評価方式を試行する。予定価格の5%以内で品質の向上などに寄与する「技術向上提案」を求め、落札者の提案を採用する場合は落札価格に必要経費を上乗せして変更契約する。軽微な設計変更を認めるため、参加者はより発展的な提案ができるのが特徴だ。発注規模は8億1000万円以上15億円未満のWTO政府調達協定対象。一般土木の単体(経営事項評価点数1200点以上)から8月4日まで申請書などを受け付け、10月17日に入札を締め切って10月22日に開札する。2028年2月29日までに完了させる。
 今回の工事は埼玉県草加市柿木町亀地先で行う。現地は国道4号に挟まれた狭い場所で、液状化層のある軟弱な地盤。そこに72本の既製杭を打ち、約3350立方bのコンクリートと約286dの鉄筋を使って幅約35b、高さ約19bのRC橋脚を1基造る。
 専用部4車線とオフランプ2車線の橋梁を支える大規模な橋脚になることから、コンクリート構造物(橋脚躯体工)の品質確保を「技術向上提案」のターゲットににした。5000万円(税抜き)を上限に、暑中と寒中を避けたコンクリートの養生といった具体的な提案を募って評価する。
 ST型は工期や安全性、生産性、脱炭素化などに寄与する資機材や工法の採用に努めることを発注者責務とした第3次担い手3法を踏まえて試行。これまでの技術提案評価型S型(S型)を想定する工事の中から案件を選ぶ。S型は予定価格の範囲内かつ設計変更を伴わない形で技術提案を求めており、新技術・工法の活用を通じたさらなる品質向上などにつながりにくい側面があった。
 仕組みを具体的に見ると、予定価格の5%以内で任意に設定して明示する金額を上限にして、参加者から「技術向上提案」を求める。評価項目は施工条件の理解度や工事の品質向上への有効性などを見る「的確性」と、提案した構造や工法などを実施事例や類似の実績などから判断する「実現性」の二つ。入札前に「技術向上提案」にかかる概算費用も提示してもらうが、評価は技術的な内容だけに限り、上限額以下であれば金額の多寡は影響しない。評価点はS型の技術提案で配分されている点数の一部とし、配点全体の3分の1から2分の1の範囲に収める。
 入札を経て、発注者が落札者の「技術向上提案」を採用する場合は契約後速やかに設計変更し、落札価格に必要経費を上乗せして変更契約を結ぶ。履行されない場合は契約違反に当たることから、指定停止などの措置を講じることがあるとしている。
 国交省は「技術向上提案」の事例として、導入にかかるコストの高さが普及の障害となっているトンネル自動化施工などを想定。このため25年度は全国で4件の山岳トンネル工事にST型を試行適用する他、地方整備局の判断で順次試行することにしていた。提供:建通新聞社