東京都建設局は善福寺川上流地下調節池の整備にかかる全体事業費を約1557億円と見積もった。杉並区内の環状8号線などの地下にシールド工法で延長約5・8`のトンネルを造り、善福寺川から約30万立方bの洪水を取り込めるようにして沿川の浸水被害を防ぐ。実施設計段階から施工会社が参画するECI方式を都として初めて採用し、鹿島・大成JVが技術協力業務を手掛けた。同JVと工事の価格交渉などを実施しており、2025年度内に契約を結んで発進立坑の準備工をスタートさせる予定。30〜34年度にトンネル掘削工事を進め、付帯施設の建設工事や設備工事なども行って、41年度の事業完了を目指す。
杉並区成田西3丁目地内の都立善福寺川緑地に発進立坑、同区上荻4丁目地内の区立関根文化公園に到達立坑をそれぞれニューマチックケーソン工法で設け、環状8号線や青梅街道、五日市街道などの地下約40bを泥水式シールドマシンで掘り進めて内径9〜7・5b、延長約5・8`の地下トンネル式調節池を整備する。また、途中の原寺分橋下流右岸部(杉並区西荻北4丁目地内)にも立坑をニューマチックケーソン工法で設けて内径4・4b、延長約10bの連絡管を造る。
地上の道路幅員に合わせて途中でトンネル内径を変える必要があるため「親子シールド工法」を採用する方針。大口径・大深度で急曲線施工が多いといった条件も踏まえて都で初めてECI方式(技術交渉・施工タイプ)を試みることとし、23年度に公募型プロポーザル方式で鹿島・大成JVを優先交渉権者に選んで技術協力業務を任せた。
ECI方式の対象は発進立坑と到達立坑、トンネル、到達立坑側の取水施設で、プロポの手続き時点ではこれらの工事費を1000億円程度と見込んでいた。詳細設計はパシフィックコンサルタンツ(千代田区)が担当。25年度の当初予算に26〜35年度を期間とする限度額1170億円の債務負担行為を設定している。
各立坑での工事スケジュールは、▽発進立坑(善福寺川緑地)=25〜26年度準備、27〜29年度立坑、30〜34年度トンネル、34〜35年度立坑内部整備、35〜38年度取水施設、31〜41年度管理棟・設備、41年度復旧▽到達立坑(区立関根文化公園)=28〜29年度準備、30〜32年度立坑、32〜33年度取水施設、34〜35年度立坑内部整備、36〜39年度管理棟・設備、39年度復旧▽連絡管立坑(原寺分橋下流右岸部)=29〜30年度準備、31〜33年度立坑、34年度連絡管、35〜37年度立坑内部整備、37〜39年度取水施設、39〜41年度管理棟・設備―を予定。35年度に先行して区立関根文化公園での取水開始を目指す。
提供:建通新聞社