厚生労働省東京労働局は都内での建設業死亡災害の急増を重く見て、建設関係団体や公共工事発注機関、大手建設事業者に労働災害防止対策の徹底を緊急要請した。7月25日付で文書を発出し、同局が展開している重点事項の取り組みなどを通じて労働災害の防止に万全を期するよう求めた。
都内での建設業死亡災害は2024年が11人で過去最少となったものの、25年に入って増え続けている。具体的には7月上旬時点の死亡者数が9人と前年同期(3人)の3倍に上り、うち5人は前年1年間に1人にとどまっていた「墜落、転落」で命を落とすなど、「非常に憂慮すべき状況」(東京労働局)だ。
いずれの死亡災害も「基本的な安全対策や安全性の検討が十分になされていない」ため発生しており、「現場全体の安全意識や安全管理能力の低下が懸念される」ことから、関係方面に労働災害防止対策の徹底を緊急要請した。
文書の発出先は建設関係団体が7団体、公共工事発注機関が20機関、大手建設事業者が22社24事業場。川又修司労働基準部長のメッセージや死亡災害の発生状況などを会員事業場、公共工事の受注者、各社の工事現場などに周知するとともに、同局が重点事項に掲げる▽死亡災害を絶対発生させない旨の決意表明と発信(決意表明)▽安全衛生管理活動の的確な実施と活性化(管理活性化)▽墜落・転落災害防止対策の徹底(高所対策)▽安全衛生教育の徹底(教育強化)―に取り組むなどして、労働災害を防ぐよう訴えている。
緊急要請した団体、発注機関、事業者は次の通り。
【建設関係団体】建設業労働災害防止協会東京支部▽東京建設業協会▽東京建物解体協会▽東京建設躯体工業協同組合▽日本基礎建設協会関東支部▽東日本基礎工業協同組合▽東京木造家屋等低層住宅建築工事安全対策協議会
【公共工事発注機関】国土交通省関東地方整備局▽東京都財務局建築保全部▽都都市整備局▽都住宅政策本部▽都建設局▽都港湾局▽都交通局▽都水道局▽都下水道局▽首都高速道路会社▽東京ガスネットワーク▽東京メトロ▽東京電力パワーグリッド▽UR都市機構東日本賃貸住宅本部▽NTT東日本―南関東▽JR東日本▽JR東海▽東日本高速道路会社▽中日本高速道路会社▽東京二十三区清掃一部事務組合
【大手建設事業者】清水建設東京支店▽大林組東京本店▽大成建設東京支店▽鹿島東京土木支店▽鹿島東京建築支店▽竹中工務店東京本店▽戸田建設東京支店▽五洋建設東京土木支店▽五洋建設東京建築支店▽長谷工コーポレーション▽安藤ハザマ首都圏建築支店▽前田建設工業東京建築支店▽フジタ東京支店▽西松建設関東建築支社▽三井住友建設東京建築支店▽熊谷組▽東急建設▽鴻池組東京本店▽奥村組東日本支社▽NIPPO▽東亜建設工業▽鉄建建設東京支店▽ナカノフドー建設▽松井建設東京支店
提供:建通新聞社