6月22日に投開票された都議会選挙で31議席を獲得し、最大会派に返り咲いた都民ファーストの会東京都議団。2016年の会派設立から3度の都議選を戦い、2期ぶりに第1党として都政の運営に当たる。幹事長に就任した尾島紘平氏に、強靱化などの公共事業と建設産業に対する政策を聞いた。
―再び都議会の最大会派となった。
「初の都議選で第1党となった17〜21年の1期目は都議会の体質を改めるスクラップ≠ノ、2度目の都議選後に、第2党として臨んだ21〜25年の2期目は新型コロナウイルスに対応しつつ、スクラップを踏まえたビルド≠ノ尽力してきた。6月の都議選を経て7月に始まった3期目では新たに見えてきた都政の諸課題に、改めて第1党の立場で向き合い、クリエーション≠進めていく。襟を正して取り組んでいきたい」
―小池百合子知事は「備えよ、常に」を合言葉とし、首都防衛を推進している。TOKYO強靱化プロジェクトに基づき、24年度と25年度の当初予算では投資的経費がいずれも1兆円を超えた。公共事業に対する考えは。
「都のインフラは更新時期を迎えている。補修を適切に行わないで破損した場合、復旧の費用が余分にかかる上、人命が失われるリスクもある。景気や市場の動向も考慮する必要はあるが、公共事業は増やしてもいいフェーズだと思っている。強靱化に関わる予算は絶対に削るべきではないし、進められる事業は加速化させていていく方がよい」
「わが会派では、河川や調節池の整備などの防災に寄与する事業を優先的に行っていくべきだと主張している。併せて、気候変動などにより降雨量が従来の想定を上回っている現状を踏まえ、整備の前提となる考え方もアップデートしていかなくてはならない」
「想定外の事態が起きるのが災害だ。ある調節池の整備に当たっては施設の規模がオーバースペックだという批判が議会からも出ていたが、オーバースペックであるからこそ、都民の安全・安心が担保されると考えている」
―建設産業の課題をどう認識しているか。
「物価や人件費の高騰に加えて、現場の人手不足が深刻な状況の中で不調の増加を懸念している。例えば、参加機会を平準化するため落札から次回の入札に参加できるまでの期間を伸ばした局があるそうだが、逆に事業者は案件を選別して条件が悪ければ辞退するなど不調につながりかねない。建設業者にしっかりと受注してもらえるようにするのも行政の仕事だ。入札契約制度は時代に合わせて見直していく必要があるだろう」
「また、資材価格の上昇が工事の価格に追いついていなくても、受注の実績を途切れさせないように参加しているとの声もある。ただ、価格面で無理をして受注すれば、割を食うのは下請け業者だ。末端の人たちが安定して仕事を受けられるように、制定の可否は別にしても公契約条例の議論もしなくてはいけないのではないか」
「建設業者の皆さんが本音を話していただける関係性を構築したい。意見をしっかり受け止めて理解し、都とも折衝して、解像度が高く、実効性のある政策をつくっていく」(東京支社報道部=丸川優希)
【略歴】おじま・こうへい 2012年早稲田大学政治経済学部卒。15年練馬区議会議員、17年都議会議員(練馬区)に初当選。都議3期目で8月から都民ファーストの会東京都議団幹事長。36歳。大阪府豊中市出身。
提供:建通新聞社