国土交通省関東地方整備局などは東京外かく環状道路(外環)の関越〜東名間整備で事業費を約4050億円増額する。材料単価・労務費の上昇や2020年10月に起きた陥没・空洞事故の再発防止などに対応するためで、総事業費を約2兆7625億円に見直す。10月9日に開かれた関東地整の事業評価監視委員会にこれらを含む事業の再評価を諮った。委員会は次回の会合で改めて審議する。
外環の関越〜東名間(練馬区大泉町〜世田谷区宇奈根)は延長約16・2`。2009年度に事業化し、関東地整、東日本高速道路会社、中日本高速道路会社の3者が本線トンネルと地上を結ぶランプ部のトンネル工事・橋梁工事・改良工事などを進めている。20年度時点で総事業費を約2兆3575億円と見積もっていた。
今回の事業費の増額は▽材料単価・労務費の上昇=約1700億円▽陥没・空洞事故を踏まえた再発防止対策等の履行=約910億円▽発生土の産業廃棄物と改質材添加量の増加=約720億円▽換気所の躯体容量の変更=約360億円▽換気所の換気ダクト等の設計変更=約200億円▽換気所の地下水位の上昇による地盤改良等の追加=約160億円―で合計約4050億円。
このうち材料単価・労務費は今後も上昇が続けばさらなる事業費増加の可能性があると説明。また、陥没・空洞事故の再発防止対策では、原因となった土の締め固まりや過剰な土砂の取り込みを防ぐ設備を追加したり、地表面のモニタリングを強化したりして、安全を最優先にトンネルを掘進する。
陥没・空洞事故に伴う地盤補修を行っている他、安全を最優先してトンネル工事や地中拡幅工事を進める必要がある。このため関東地整などは早期の開通と供用に努めるものの、「現段階で全体事業工程を正確に把握することは困難」としている。
また当日の委員会には、関東地整が東京港中央防波堤外側地区国際海上コンテナターミナル整備(江東区他)と6号大和田拡幅(茨城県日立市)の2事業に関する再評価を諮り、継続の対応方針原案について了承を得た。
個々に見ると、国際海上コンテナターミナルは資材価格や人件費の上昇で約160億円増、供用中の岸壁への影響を緩和するための退避などで約20億円増となり、総事業費を約3223億円から約3403億円に改める。また、27年度までとしていた事業期間も2年延ばして29年度とする。
6号大和田拡幅は資材価格や人件費の上昇で約13億円増額し、これまで約211億円としていた総事業費を約224億円にする。
提供:建通新聞社