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建通新聞社(東京)
2025/11/04

【東京】建設業の長時間労働 違反150事業場に是正勧告

 厚生労働省東京労働局が2024年度に長時間労働の疑いがある事業場で実施した監督指導の結果によると、建設業では対象とした192事業場の78・1%に当たる150事業場で労働基準法関係法令の違反を確認したため是正勧告書を交付した。主な違反ごとの事業場数と違反率は「違法な時間外労働」が80事業場(53・3%)、「賃金不払い残業」が21事業場(14%)、「健康障害防止措置の未実施」が44事業場(29・3%)。建設業に時間外労働の上限規制が適用された年度だったものの、違反の状況はほぼ前年度並み。東京労働局は5年の猶予期間(19〜23年度)に建設業向けの説明会の開催や事業場への訪問などに取り組んだことを挙げて「特に違法な状況が増えたとは認識していない」(増田嗣郎局長)との見方を示した。
 監督指導の対象は時間外・休日労働が1カ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や過労死などの労災請求があった事業場。建設業での24年度の結果を前年度と比べると、対象が6事業場、違反が15事業場のそれぞれ増で、違反率は5・5ポイント上がった。
 主な違反ごとの事業場数と違反率は「違法な時間外労働」が1事業場の減(マイナス6・7ポイント)、「賃金不払い残業」が7事業場の増(プラス3・6ポイント)、「健康障害防止措置の未実施」が13事業場の増(プラス6・4ポイント)で、時間外労働を巡る違反が減少している。
 また、他の産業を含めた24年度の状況を見ると、対象とした4138事業場のうち3093事業場(74・7%)で法令違反を確認。主な違反ごとの事業場数と違反率は「違法な時間外労働」が1545事業場(37・3%)、「賃金不払い残業」が296事業場(7・2%)、「健康障害防止措置の未実施」が887事業場(21・4%)で、建設業の違反率はいずれも全体を上回っている。
 違法な長時間労働を確認した事例の中で、建設業では機械設備の取り付け工事と保守管理を行う事業場(労働者数約420人、企業全体約700人)を挙げた。違法な長時間労働が疑われたため立ち入り調査を行ったところ、施工管理に携わる労働者1人の時間外・休日労働が2カ月平均で84時間と、労働基準法の上限(複数月平均80時間以内)を超えていた。
 是正を勧告して指導した結果、この事業場は施工管理担当者のサポート部署を本社に新設するなどして業務を平準化。最長で98時間に上っていた1カ月当たりの時間外・休日労働を60時間程度まで削減した。
 東京労働局は長時間労働の是正に向け、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を実施する。また、同局と管内の労働基準監督署は7日まで、過重労働に関わる相談や法令違反が疑われる事業場の情報を集中的に受け付ける。提供:建通新聞社