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2021/04/02

建退共 公共工事で掛金充当の確認強化

 国土交通省は、公共工事の現場で建設業退職金共済の掛金を適正に充当するための運用ルールを定め、全ての公共発注者に4月以降に運用を開始するよう通知した。電子申請方式と建設キャリアアップシステム(CCUS)を一体的に運用し、就労実績報告と掛金充当を効率化。電子申請方式で工事単位での履行確認が可能になることに伴って、従来の証紙貼付方式も書類管理を見直し、発注者による掛金充当の確認を強化する。民間工事でも、元請けに対して公共工事の運用に準じて対応するよう求めた。
 証紙で掛金納付を管理するこれまでの建退共は、事務受託した元請けが購入する証紙が過少に交付され、技能者の退職金に適正に充当されないという課題があった。3月に本格導入された電子申請方式とCCUSを一体的に運用すると、CCUSの就業履歴情報を活用して就労実績を報告できるため、掛金充当が確実・容易になる。
 電子申請方式では、元請けが専用サイトで工事前に「退職金ポイント」を一括購入し、下請けが「就労状況報告」を毎月、元請けに電子データで提出。元請けは勤労者退職金共済機構に報告し、機構が退職金ポイントを付与する。就労状況報告作成ツールでは、CCUSの就業履歴情報を活用できる。
 今回は、この際の元請けの対応状況を公共工事の発注者が確認し、必要に応じて指導する運用ルールを決めた。
 元請けは契約後40日以内に退職金ポイントの購入額と算出根拠を記載した「掛金収納書」を発注者に提出。施工中は、元請けがCCUSの就業履歴数と就労状況報告を比較し、就業履歴数が少ない場合に下請けにCCUSの事後補正を指導する。
 工事完成後、元請けは掛金充当実績と事前購入金額を比較し、「掛金充当実績総括表」として発注者に提示。発注者はCCUSの登録技能者が全技能者の2分の1を下回る場合は、元請けに追加書類(掛金充当書、就労状況報告)の提示を求める。
 一方、証紙貼付方式を選択した元請けは「掛金収納書提出用台紙」に掛金収納書を貼り付け、契約後1カ月以内に発注者に提出。証紙購入の算定根拠やカードリーダー設置状況も記載し、発注者がこれを確認する。元請けは証紙交付のたびに「工事別共済証紙受払簿」に記録。工事完成後は、電子申請方式で提出する掛金充当実績総括表に加え、工事別共済証紙受払簿を発注者に提示する。
 電子申請方式で工事単位での建退共の履行確認が可能になることに伴い、証紙貼付方式も適正履行のために書類管理を見直し、確認を強化する。
 履行確認の結果、元請けの不適切な処理を確認した発注者は許可行政庁に通知。許可行政庁が指導・助言・勧告などの措置を講じる。民間工事では、公共工事の運用に準じて元請けに対応してもらう。

提供:建通新聞社