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2021/09/21

時間外労働削減が減速 日建連

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が行った2020年度の会員企業の労働時間調査によると、24年4月から建設業にも適用される時間外労働の罰則付き上限規制における、1年間の上限の時間外労働時間である720時間をクリアできていない従業員の割合が、非管理職で13%、管理監督者で8%を占め、19年度からほぼ横ばいで推移していることが分かった。日建連では改善が減速している要因を分析し、対策を検討する方針だ。
 日建連は「時間外労働の適正化に向けた自主規制」を17年9月に公表し、19年度以降の数値目標を設定。毎年、会員の取り組みを調査している。20年度は142社を対象に調査、60%の85社が回答した。
 時間外労働の上限規制では、年720時間までの法定時間外労働を三六協定の特別条項で定めることができる。今回の調査で720時間を超えた非管理職の割合は13%で、前年度と比べ1ポイントしか減っていなかった。前回の調査では4ポイント減少しており、今回は減少のペースが鈍った。
 また、年間720時間を超える管理監督者は8%で、19年度と同数だった。前回は3ポイント減ったが、今回は横ばいだった。
 19〜21年度の日建連の自主規制目標は年960時間で、これを超える従業員はいずれも1%だったものの、法の上限となる720時間を越える割合の低下が鈍化したことに日建連では危機感を強めている。
 また、年間の時間外労働時間の平均は、非管理職は374時間で、19年度より6時間減った。しかし、管理監督者は2時間増えて312時間だった。厚生労働省が調査した全産業平均の146時間をいずれも大幅に上回っている。
 1年間の総実労働時間の平均は、非管理職が2201時間、管理監督者が2170時間で、いずれも19年度と比べ0・5%増加した。
 有給休暇の取得率は非管理職が56%、管理監督者が45%だった。19年度と比べ非管理職は2ポイント、管理監督者は3ポイント上昇した。
 9月17日に開いた会見で、時間外労働削減のペースが減速していることに関して宮本会長は「頭打ちの状態になっているのであれば、このまま24年度を迎えれば大変なことになる。要因の分析や対策の検討を、労働委員会にワーキングを立ち上げて進めたい」と述べた。
 また、押味至一副会長は「4週8閉所を実現しないとクリアできない」と指摘。蓮輪賢治副会長は「適正工期での受注など、業界を挙げて働き方改革に取り組んでいなかければならない」と強調した。

提供:建通新聞社