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2022/06/09

工期算定基準 都道府県3割が対象限定

 国土交通省は、建設現場の週休2日(4週8休)を実現するため、都道府県に対して、小規模・少額工事なども含めた全ての工事で「工期算定基準」を適用するよう促していく。全都道府県が独自の工期算定基準を作っていたが、全体の3割を超える16都道府県が対象工事を限定していた。適正な工期設定を広く定着させることで、2024年4月に迫る建設業への時間外労働の罰則付き上限規制の適用に備える。
 国交省の調査によると、全ての都道府県が工期を算出するための工期算定基準を策定済み。就業者の休日なども考慮して工期を設定しているとした。
 一方で、16団体が基準の対象となる工事を一部に限定していた。=グラフ参照。
 対象外としている工事は、小規模・少額工事や、工期が複数年度にわたる大規模工事、港湾・トンネル・ダム・下水道などの特殊工事、通年維持工事、災害復旧など施工時期・現場条件に制約のある工事など。
 対象外とする工事の工期設定については、工種・金額に応じて標準となる工期日数を定めたり、過去の実績や同種工事を参考にしていた。供用時期や円滑に工程を進める上での制約条件(クリティカルパス)などを踏まえ、工事の発注担当者が独自に設定している場合もある。
 入札契約適正化指針では、工期設定に当たって、▽現場従事者の週休2日を含む祝日、夏季・年末年始休暇などの「休日」▽降雪・出水期の「作業不能日」▽現地調査や現場事務所設置の「準備期間」▽工事完成後の「後片付け期間」―といった事項を考慮するよう規定している。
 今回の調査では、全都道府県がこれらを考慮していると回答したにもかかわらず、実際に週休2日工事として公告した案件(週休2日工事の実施率)は、全体のおよそ6割にとどまっているのが現状だ。
 建設業では、24年4月から時間外労働の罰則付き上限規制が適用される。建設現場で時間外労働を上限規制内に収めていくためには4週8休の定着が必須となるが、都道府県の発注工事も含め十分に定着しているとは言えず、建設現場での4週8休の確保が建設業界の最優先課題になっている。
 国交省は、地域ごとに開くブロック監理課長等会議や発注者協議会で、入札契約適正化指針の意図を改めて周知。週休2日の定着に向けた取り組みと適正な工期確保を促しつつ、技能者の処遇改善にもつなげるとしている。

提供:建通新聞社