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2023/03/17

近現代の「名建築」 保護・発信へ議論開始

 文化庁は3月16日、文化的に重要な近現代の「名建築」を保護し、対外的に発信する方策を議論する有識者会議の初会合を開いた。対象には、従来の文化財保護の仕組みからは漏れる竣工後50〜60年程度の建築を想定。維持管理に要する負担の取り扱いや、都市開発との兼ね合いもテーマとなる。5月末までに提言をまとめる。
 現行の保護制度は、建築物などを指定・登録する「有形文化財」や街並みを対象とした「伝統的建造物群」、保存・修理の担い手を認定する「文化財の保存技術」など。いずれも、歴史的な評価の定まった建築を対象としている。
 国内には、プリツカー賞など国際的な評価を得ている建築家による現代建築が多数ある。一方で、文化財保護法の登録・指定前に解体、改修される例も少なくないという。文化庁は会議の開始に当たり、周辺の風景を含めた「建築文化」の保全・活用に向けた議論を提起した。
 会議では、建築の改修・解体を規制する場合、所有権との関係を整理する必要があることや、相続税・固定資産税への影響を指摘する意見が出た。また、旧耐震基準で設計された建物など、既存不適格への対応も議論された。
 委員は次の通り(敬称略)。
 ▽座長・後藤治(工学院大学理事長)▽石井リーサ明理(照明デザイナー)▽隈研吾(建築家)▽佐々木葉(早稲田大学理工学術院教授)▽佐藤主光(一橋大学教授)▽鈴木京香(俳優)▽西尾洋一(Casa BRUTUS編集長)▽堀川斉之(大成建設設計本部シニア・アーキテクト)▽三浦展(カルチャースタディーズ研究所代表取締役)▽山ア鯛介(東京工業大学博物館副館長)―。

提供:建通新聞社