トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2023/03/20

「賃金引上へ下請協議」 行動計画に明記へ

 中小企業庁は、下請けGメンによるヒアリング調査の結果をまとめた。建設業者からは、元請けと見積価格について協議した際、他社との比較で労務費の減額要請があったといった声が寄せられた。中企庁は、下請けが賃上げに取り組めるよう、取引額について「十分に協議して決定される必要」があると判断。日本建設業連合会などが策定する自主行動計画に明記を求める考えだ。
 全国の中小事業者を対象に、自身が下請けとなる取引の実態を昨年4月から12月にかけて調べた。建設業者には619件のヒアリングを行った。判明した課題については、国土交通省を通じて元請け事業者団体に自主行動計画への明記など、対処を求めていく。
 取引対価については、国土交通省が定める労務単価以上で決定しているという好事例も聞かれた。一方で、元請けによる指し値での受注や、精算見積もりで交渉が厳しくなっている実態もあった。
 原材料価格の高騰に対しては、「取引先が作成した見積書に印鑑を押して提出」など、転嫁できていない事例があった。元請けが施主と取り決めているため、値上がり分を交渉できないという下請けもいた。中企庁は定期的な交渉だけでなく、一時的なコスト上昇にも「十分な協議」をするよう求める方向だ。
 現金100%による支払いは全体の約6割だった。長期の手形サイトや支払期日が設定されている事例もあった。中企庁は、特定建設業者が元請けの場合は、建設業法に基づき50日以内の下請け代金支払いを徹底する必要があるとした。
 4週8休の動きが元請けに広がる中で、下請けが休日を増やせた事例もあった。一方、しわ寄せが下請けに及んだ事例もあり、不当な要請を行わないよう求めていく。
 警備業や建材メーカーなどからも、建設業に対して取引改善を求める声が寄せられた。工事現場の交通誘導警備で、「国交省の労務単価よりかなり安い」受注価格を求められたり、10年間価格を据え置かれたりする例があった。下請け工事会社と同様に、警備業や設計業などに発注する際も、十分な協議を建設業者に求めていく。
 警備業に対する直前の配置キャンセルの例もあり、中企庁は変更に伴う追加費用を発注側が負担するよう求めるとした。

提供:建通新聞社