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2023/03/27

前倒しで法規制に対応 時間外労働削減で日建連

 2024年度からの建設業への時間外労働の罰則付き上限規制の適用まで残すところ1年となる中、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、時間外労働削減の23年度の取り組み方針を3月24日の理事会で決めた。法の適用に先駆け、会員企業の従業員の時間外労働を年間720時間以内に短縮するなど、法の特例で認められる条件の達成を目標に掲げた。そして、重点施策として、四半期ごとのきめ細かな実態把握や、発注者向けリーフレットの作成といった会員への支援・周知活動の強化などを盛り込んだ。11月を「時間外労働削減強化月間」とし、好事例の共有や意識啓発のためのイベントの開催も計画している。
 改正労働基準法によって上限となる原則的な時間外労働は1カ月45時間までで、年間360時間以内。だが、特例として、労使による三六協定の特別条項によって、@法定時間外労働が年720時間以内A時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満B時間外労働と休日労働の合計が、どの2〜6カ月をとっても平均で月80時間以内C時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6カ月まで―の四つの条件を全て満たす範囲の時間外労働は適法とされる。
 しかし、この条件を適用して日建連が21年度の会員企業の従業員の時間外労働を調査したところ、非管理職の28・6%が特例を超過していた。時間外労働の原則で見た場合、超過者は60・7%に上った。
 そこで、今回決めた23年度の取り組み方針では、法規制の特例と同等以下への時間外労働の短縮を目標とし、「全ての会員企業で、誰一人取り残されることなく、目標が達成されることを目指す」とした。
 また、目標達成のための重点施策として@きめ細かな実態把握A上半期終了時点でのレビュー、推進強化B支援・周知活動の強化C厚生労働省との連携―を行う。
 実態把握では23年度第1〜3四半期と通期の4回、時間外労働の実態をまとめ理事会に報告する。
 また、厚労省が過重労働解消キャンペーン期間とする11月を強化月間として、日建連として好事例の水平展開や、関係省庁などとのパネルディスカッションなど意識啓発活動を実施する。会員企業でも、上半期実績のレビューや点検、意識高揚活動などを行う。
 会員への支援・周知活動では、適正な工期や4週8閉所、契約の見直しに関する「発注者向けリーフレット」を作成する。また、会員の社内向けリーフレットや、日建連のホームページでの特設サイトの作成なども行う。
 厚労省との連携では、同省課長との意見交換(実務面での質疑応答)や講演会の開催などを予定している。
[取組強化を会員に通知]
 23年度の時間外労働削減の取り組み方針の決定に合わせ日建連の宮本会長は、会員に対し、取り組みの強化を求める通知を同日付で行った。
 宮本会長は、建設業への規制適用が他産業より5年間猶予されたことに触れ、「法規制を順守できなければ、他産業より労働環境が劣悪であるとの社会的な認知につながり、建設業全体の大きなイメージダウンを招き、若年層の入職者数と定着率の低下につながる」と懸念。
 会員に対し、今回の取り組み方針に沿った、適正な時間管理の下での「さらなる取り組みの強化」を求めた。

提供:建通新聞社