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2023/03/28

変更契約条項なし 民間発注者の2割超に

 民間発注者の2割超が物価などの変動に基づく変更契約条項を請負契約書に規定せず、受注者と契約を結んでいることが分かった。1割近くが受注者からの変更の申し入れを受け入れてもいなかった。国土交通省では、片務的な契約にならないよう、中央建設業審議会(中建審)が作成した「民間工事標準請負契約約款」に沿って契約を締結することが望ましいと留意を促している。
 国交省は、民間発注者の現場レベルでの適正契約の意識浸透につなげるため、デベロッパーなどの本店や支店を含む49カ所を対象に、請負代金と工期の設定に関するモニタリング調査を実施した。調査期間は2022年8月〜23年2月。
 物価変動に基づく契約変更条項に関しては、「規定している」が全体の74%を占める一方、26%が設けていなかった。未規定の理由については、「物価上昇も織り込んだ上で、総価契約として両当事者で請負額を合意・決定しているため」「正当な理由や根拠があれば払うようにしているから」といった回答が見られた=グラフ@。
 契約金額変更の申し出があった場合の対応では、77%が「受け入れた」と回答する一方で、15%が協議中とし、8%が受け入れを拒んでいた=グラフA。
 公正取引委員会は、「価格交渉のための協議の場を設けない」「価格転嫁しない理由を書面などで回答することなく価格を据え置く」といった行為について、「優越的地位の濫用」に該当する恐れがあるとの解釈を示している。さらに、契約上立場の強い発注者が積極的に協議の場を設けることと、価格転嫁しない場合に、その理由を書面や電子メールなどの形に残る方法で受注者に伝える必要があるともしている。
 工期の設定に関しては、2割超の民間発注者が、工期を設定する際に、長時間労働の是正、週休2日の確保などを考慮していなかった。中建審が作成した「工期に関する基準」では、発注者の責務として、上限規制適用に向けた環境整備に協力することを定めている。ただ、モニタリング調査によると、発注者の4割超が「工期に関する基準」を知らなかった。

提供:建通新聞社