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2023/08/03

実質・名目の乖離 9年連続で拡大へ

 建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所は、2024年度の建設投資見通しをまとめた。24年度は建設投資総額が名目ベースで前年度比1・2%増の72兆6600億円、実質ベースで1・3%増の60兆0530億円と推測した。名目と実質の乖離は12兆6070億円に及び、15年度以降9年連続で拡大し続ける見通しだ。
 24年度の建設投資(名目ベース)を項目別に見ると、「政府建設投資」が前年度比0・5%増(23兆7700億円)、「民間住宅投資」が0・8%増(16兆9500億円)、「民間非住宅投資」が1・5%増(23兆0400億円)、「民間建築補修投資」が3・1%増(8兆9000億円)と全ての項目で増加を見込んだ=グラフ参照。
 このうち政府建設投資は、24年度当初予算の公共事業関係費が前年度並みと想定。22・23年度補正予算の一部が24年度に出来高として実現すると予測した。防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策なども増加の要因とした。
 民間住宅投資では、住宅の着工戸数を0・2%増の85万5000戸と推計。建設コストの高止まりの影響が一巡し、標準的な相場感として受け入れられることで、住宅取得マインドの回復が期待される。持ち家で0・7%増の24万4000戸、貸し家で1・1%増の35万5000戸と、いずれも微増を見込んだ。分譲住宅は1・6%減の25万戸と推計した。
 民間非住宅投資については、堅調な企業の設備投資意欲に基づく、設備投資の持ち直しが見られることから、名目・実質ベースともに前年度比で微増になると予測した。用途別では、事務所が大都市圏の開発案件を中心に23年度以降も床面積が前年を上回る。倉庫・流通施設は23〜24年度に供給のピークを迎えるとした。
 民間建築補修投資は、省力・省人化に対する関心の高まりを受け、23・24年度の投資が増加すると予測した。
 20〜24年度の建設投資総額の名目と実質の乖離を見ると、20年度が4兆8000億円、21年度が7兆7000億円、22年度が11兆6000億円、23年度が12兆5000億円、24年度が12兆6000億円となっている。
※名目値は、実際に市場で取引されている価格に基づいて推計された値。実質値は、基準年からの物価や人件費の上昇・下落分を取り除いた値(建設工事は15年度を基準年としている)。物価などが大きく変動する局面で、建設投資の水準や伸びを正確に把握するには、実質値を見る必要がある。

提供:建通新聞社