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2023/08/29

建設トップランナーフォーラム「#戦略的広報のすゝめ」D

 漫画やイラストを使って森林や林業、木材産業の魅力を伝える林野庁北海道森林管理局庁内絵師の平田美紗子さんは「イラストは情報発信の武器として有効」と話し、広報戦略のポイントとして専門家の目線を持つこと、取材の大切さ、わからない人に理解してもらうための工夫が必要などと助言した。
 群馬で森林官を5年間務めたとき、森林や林業の面白さや働く人たちの魅力を伝えようと、趣味の漫画とイラストを使って情報発信することにした。
 早速、クマタカのイラストについて専門家から勉強不足との指摘を受けた。「一般の人だけではなく、プロの目線に対してもきちんと応えられる術を学ぶ必要を感じた」という。博物館で勉強し直して描き直した。
 林野庁の広報室で情報誌「林野」や林業漫画「お山ん画」に携わり、現場で見た面白かったこと、現場を身近に感じてもらうことを意識。書きたかったスパイク地下足袋などを紹介した。
 注意動物特集では伝え方に気を配った。ハチやクマに出会った時の対処方法を伝えたが、危険動物ではなく注意動物と説明。「人間にとっては危険動物だが、彼らは普通に生活しているだけ。そこに入っていく人間が注意をしなければならないという思いを込めた」と話す。
 取材の大切さにも触れ「CLT特集の時は森林総合研究所で丸一日取材した。しっかり聞くことで伝える側の思いに踏み込んで読者に届けることができる。作る立場としても誇りを持てる作品になる」と強調した。
 職業漫画「人to木」(ひととき)では「山と海のつながり、森づくりが多くの人の手で成り立っていること」を紹介。樹木漫画「リン子の絵日記」では身近な街路樹を採り上げた。ラジオなどにも出演するなど情報発信の幅を広げている。
 ある出張授業で「木を切ることはダメなことですよね」と質問されてショックを受けた経験から、情報発信する際には「ネガティブなイメージを持っている人に理解してもらうことを前提に戦略を立てることも必要」と助言した。
 林業は持続可能な循環産業。「木を植え育て、木材を無駄なく加工して建築物や紙、燃料などに活かし、健全な森林づくりに収益を還元する。街の中で利用されれば二酸化炭素を固定する」。当然だと思っていても知られていないことはある。
 「SNSや私の描いている漫画は結局、ツール。自分たちがどれだけストーリーテラーになれるかだと思う。広報活動で自分たちは誇りを取り戻せるし、子どもたちに希望を持たせることができる。ぜひ皆さんにもストーリーテラーになってほしい」と呼び掛けた。(地方建設専門紙の会・北海道建設新聞社)