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中央ニュース

2023/08/18

事業監理ツールを試行 23年度、モデル工事で運用

 国土交通省は、直轄事業全体で設計履歴や申し送り事項を引き継ぐための「プロジェクト監理ツール」(仮称)を開発する。現在、試作版の作成を進めており、今後選定するモデル工事で9月以降に試行運用を開始する。まずは発注者向けに必要な情報を整理し、将来的には受注者の活用も視野に入れる。
 直轄事業の生産性向上の取り組みの一環として、BIM/CIM推進委員会で提示した。取り扱うデータは、構造物の3次元モデルそのものではなく、設計履歴や申し送り事項、関係機関協議の進捗など。個々の工事・業務の中でデータを共有するだけでなく、事業の進展に応じて後続の担当者に伝えたり、複数工区で連携させたりする「データシェアリング」の実践例となる。
 プロジェクト監理ツールでは、伝達すべき情報を地図上で検索、表示できるようにする。プロジェクトの全体工程の他、個々の協議事項の協議先や現状のステータス管理、関連する資料の保管などもできるようにする。これまでは発注者が個別に管理していた情報の様式や内容に統一性を持たせ、事業を円滑に進められるようにする。
 2023年度は、モデル事務所の工事で試行運用し、改善点を調べる。プロジェクト監理に必要な機能や掲載すべき情報、他のデータベースとの連携などについて検討し、24年度以降にツールの改良・実装を進める。
 従来は、各職員のパソコンや事務所内のサーバーなどで個別に管理していた情報を、より高度に連携させるイメージだ。発注者内部での情報共有環境を整えることで、測量調査や設計、施工、管理といった事業の各段階で受注者との情報のやりとりを円滑化することも期待できる。
 近しい取り組みとして、荒川下流河川事務所では3次元デジタル河川管内図に新設構造物を重ね合わせて表示したり、用地取得進捗表と連携させたりする仕組みを既に具体化。また、千葉国道事務所では地理空間情報システムを活用し、苦情を受け付けた際の連絡や、協議録の作成・回覧を自動的にデータベースに登録できるようにした。

提供:建通新聞社