物価調査会がまとめた民間企業の設備投資動向調査によると、1〜3月期の建設投資額は、全産業で前年同期比9・4%増となる見込み。製造業で11・8%減となるものの、非製造業で11・5%増となり、全体増を支えた。また、同期の設備投資マインド調査では、投資意欲はあるが、国内経済の先行きの不透明さから、計画額を縮小したり、計画時期を後倒ししたりと、消極的な動きを見せる企業も多く見られた。
建設投資動向調査は、国内に本社を置く資本金1億円以上の民間企業4323社を対象に実施。996社から回答を得た。回答率は23・0%。調査時点は2023年12月1日。設備投資マインド調査の対象も同じ。
1〜3月期の建設投資動向を資本金別に見ると、10億円以上の企業で前年同期比13・2%増、1〜10億円の企業で35・7%減となった。
産業区分別では、非製造業で多くの産業が拡大傾向を示した。中でも、「電気・ガス業」は設備の更新や配線工事が増加傾向にあり、109・4%の増加を見込んだ。この他、「卸売・小売業」「運輸業」「情報通信業」「金融・保険業」はいずれも2桁増の見込み。
製造業は全体減となったが、「生活関連型・その他産業」は今期86・5%増、来期(4〜6月)467・0%増と大きく変動する。食品製造業関連で大きな投資が続く見通し。
投資区分別では、賃貸住宅や社宅などを含む「住宅」が20・5%減と2桁減。「非住宅」は、事務所・店舗、工場・倉庫が前年増となり、全体で9・3%の増加を見込んだ。
◇人手不足で計画遅延も◇
民間企業の建設投資意欲については、「前向き」「やや前向き」とした回答が多数を占めた。一方で、国内経済の先行きの不透明さから、投資計画を見直す動きがうかがわれた。計画額を縮小したり、計画時期を後倒しする理由では、資材価格・人件費の高騰、資機材の納期遅れによる影響が挙がった。
物価調査会の担当者によると、「『人手不足で計画を遅らせるしかない』といった声も、1年ほど前から聞かれるようになった」という。
提供:建通新聞社