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2025/02/28

CCUSレベル別年収 「適正賃金」基準に活用検討

 国土交通省は2月26日、改正建設業法に基づく技能者の処遇確保に向けて、「適正な賃金」の判断基準に建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル別年収を活用する方針案を中央建設業審議会の労務費基準に関するワーキンググループに提示した。ただし、レベル別年収は「目標水準」の位置付けのため、行政が賃金支払い状況を確認する際は「緩やかに運用する」とした。
 改正建設業法では、中建審が個々の工事契約で確保されるべき労務費に基準を設けるよう規定。一方、技能者の処遇確保には、労務費を原資として年収ベースでの適正な賃金支払いを担保する必要がある。国交省は、建設Gメンや建設業者団体による適正な賃金担保の取り組みとして、賃金台帳で法令違反の疑わしい事例を確認することも視野に入れている。このため、何が「適正な賃金」なのかという判断基準を考える必要があった。
 ワーキンググループで国交省が提示した方針案では、2023年度に作成したCCUSレベル別年収の支払い状況を判断基準の基本にするとした。これにより、技能者の能力や経験に応じた比較を可能とする。
 CCUSレベル別年収は、若い世代が建設業に入職し、技能者としての将来のキャリアパスを示すため、32職種に対応して作成した。公共工事設計労務単価に相当する賃金が行き渡った場合に、CCUSの能力評価の実態を踏まえてレベル別に年収を試算。技能・経験に応じた賃金支払いの目指すべき水準を業界全体で共有し、官民を挙げた賃上げ促進に生かす狙いがある。
 将来目標としての性格を持つため、技能者の年収の平均水準はCCUSレベル別年収よりも低い。このため、建設Gメンなどが企業の賃金支払い状況を確認する際は、レベル別年収を判断基準としつつ、CCUS能力評価の普及状況を踏まえるなど幅を持たせた運用とする方向だ。
 その上で、既存の水準によらない「あるべき水準」についても引き続き模索。改正法施行後の労務費基準の運用状況を踏まえ、中長期的に検討する必要があるとした。
 年収ベースでの処遇確保とは別に、支払われた労務費が賃金の原資として適正に使われているかの確認や、ダンピング受注の賃金へのしわ寄せ防止も必要になる。こうした場面で建設Gメンなどが賃金支払い状況を確認する際は、建設業者が通年で受け取った労務費の総額と、技能者に支払った賃金の総額に矛盾がないかを判断基準のベースとすることも、方針案に盛りこんでいる。

提供:建通新聞社