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中央ニュース

2010/04/30

日本経済の成長を牽引 大胆な規制緩和で民間資力を活用 国交省成長戦略素案

 国土交通分野の競争力を高めることで、日本経済の成長を牽引(けんいん)する―。こんな狙いで国土交通省成長戦略会議が検討を進めてきた成長戦略の素案が28日にまとまった。成長戦略分野として@住宅・都市A国際展開・官民連携B航空C海洋D観光―の計5分野を位置付け、それぞれの戦略目標とその実現に向けた政策を提言しており、建設産業にかかわる項目も数多く盛り込まれた。いずれの分野にも共通しているのは、成長の阻害要因とされる規制や省庁・組織間の縦割りを大胆に見直すことで民間の力を最大限に活用しようという視点だ。
 成長戦略分野のうち、住宅・都市分野をめぐっては、大都市の国際成長力を高める観点から、民間事業者による都市の成長に寄与する環境貢献の取り組みを評価して容積率を大幅に緩和するとともに、東京や大阪といった国際都市で戦略プロジェクトの実施に向けた関係者との調整に取り組む。大都市の国際競争力を高めるため、11年度に「大都市圏戦略基本法」(仮称)を制定し、国が「大都市圏戦略」を策定する。
 地域の潜在力を発揮させるため、民間の公的な貢献の程度に見合った容積率の緩和などを地方公共団体などが実現しやすくできるよう、国が方針を示す。また、地方債による資金調達から脱却するため、TIF手法(開発後の税収への評価に基づく資金調達)などの新たな開発整備手法を検討することも想定している。
 住宅・建築投資の活性化に当たっては、省エネ性や耐震性、バリアフリー性などに優れた住宅購入への支援を拡充する。さらに、老朽マンションの改修や建て替えを促進するため、管理組合によるこれらの決議要件などの見直しを法務省と連携して検討することなどを盛り込んだ。
 建設産業などの国際展開に向けては、▽官民一体となったトップセールスの展開▽国際的な発注・契約方式(PPP、CM、包括的民間委託など)の国内市場での活用▽インフラファンドによる投資支援―などに取り組む。
 また官民連携を推進するため、施設の所有権は残したまま民間事業者にインフラの事業権を与えるコンセッション方式を空港事業や鉄道事業で活用する。個別プロジェクトを自治体や企業から募集した上で、11年度から本格的に取り組む方針だ。さらに空港・港湾・鉄道・道路・下水道をPPP/PFIの重点分野に設定し、具体的なプロジェクトで実施する。
 航空分野では、首都圏空港の競争力を高めるため、ターミナルの拡張など既存施設の機能向上に加え、新たな滑走路の可能性も視野に入れた施設整備をはじめ、幅広い検討などに取り組む。関西国際空港と伊丹空港については、コンセッション方式を基本に両空港の事業運営権を民間に委託する可能性を追求。将来的には伊丹空港の廃港も見据えている。
 海洋分野では、国際コンテナ戦略港湾や国際バルク戦略港湾の選定など港湾の「選択と集中」を進め、20年には東アジア主要港として選択される港湾を目指す。
 観光分野は19年に訪日外国人旅行者数を2500万人にする目標を掲げ、地域の特性に応じたさまざまな観光拠点を整備していく方針だ。

提供:建通新聞社