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2011/11/18

津波避難ビルの構造設計手法を都道府県に提示 国交省

 国土交通省は、津波避難ビルの構造設計手法や、災害危険区域での建築制限に関する技術的助言をまとめ、17日付で各都道府県に通知した。この中で津波避難ビルの避難スペースは、想定浸水深に相当する階に2を加えた階に設ければ安全との認識を提示。想定浸水深に耐えうる建築物の規模も構造別に例示した。
 東日本大震災では、津波で多くの建築物が流され、被害を拡大させた。このため国交省は、津波に対し構造耐力上安全な建築物の在り方を検討してきた。
 今回の技術的助言は、現時点で得られている技術的知見を集約したもの。今後、各都道府県が津波避難態勢の整備や建築基準法に基づく災害危険区域の指定などに活用していく。
 技術的助言のうち、「津波避難ビル等の構造上の要件に係る暫定指針」では、大震災で実際に利用された津波避難ビルの調査で浸水深さに相当する階の2階上の階が被害を受けた例がなかったことから、避難スペースを「想定浸水深さに相当する階に2を加えた階に設ければ安全側である」との考え方を示した。
 また、津波による建築物の被害調査結果を踏まえ、津波荷重の設定を合理化する手法も提示。従来は、浸水深の3倍の静水圧で計算していたが、堤防や前面建築物などによる軽減効果が見込まれる場合は2倍、さらに海岸などからの距離が500b以上離れている場合は1倍で計算することにした。
 「災害危険区域に係る建築制限の考え方」では、想定される設計用浸水深に耐えられる建築物の規模について、構造別に示した。例えば、堤防などによる軽減効果があり、海岸などからの距離が500b以内の鉄筋コンクリート構造物の場合、設計浸水深が10bでは5階建て高さ18b、設計浸水深15bでは7階建て高さ25bの規模が必要とした。

提供:建通新聞社