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2012/09/04

建築物石綿調査の新資格、早急に立ち上げを  「将来は工事の受注要件に」  社整審・アスベスト対策部会

 国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会(部会長・久保哲夫東京大学名誉教授)は3日の会合で、民間建築物でのアスベスト対策の在り方について意見を交わした。石綿の有無を調べる建築物調査の新資格「建築物石綿含有建材調査者」をめぐっては、「石綿調査の中立性・公平性を確保するため、公的資格として早急に立ち上げる」方向性を了承した。資格の実効性を確保する観点から「将来的には除去工事の受注要件に位置付けるべき」といった意見も寄せられた。
 今回のアスベスト対策部会で主要な論点となった「建築物石綿含有建材調査者」は、同部会の下に設置したアスベスト対策WGが検討中の育成プログラムに基づき、建築物に石綿含有建材が使用されているかどうかを調査する専門家を認定する仕組み。今後、受講資格や修了考査の方法、育成目標を含め詳細な制度設計を固めていく方針だ。
 意見交換では、全国建設労働組合総連合住宅対策部長の澤田雅紀委員が、「早く対策を講じないと、石綿の二次ばく露が起こる恐れがあり、速やかに手を打たなくてはならない。中立性、公正性の観点から、公的資格として早急に立ち上げてほしい」と新資格に対する期待感を表明した。
 また、東京大学教授の野城智也委員は「既存建築物が抱える問題は石綿だけにとどまらない。その中で、新資格をどう位置付けていくのかが課題となる」との認識と提示。その上で「新資格の実効性を確保するためには、取得のインセンティブを明確化することが重要。総合評価方式の評価項目に位置付けることに加え、資格者数が増えた段階では除去工事の受注要件に位置付けることも考えるべき。専門工事業者など現場に近い人が資格を取得できる仕組みも必要だ」などと発言した。
 こうした意見に対し、国交省住宅局建築指導課建築物防災対策室の杉藤崇室長は、「当面は建築物の石綿調査や除去工事の完了検査で資格者の活用を要件化するが、将来的にはさまざまな制度の中で活用が進んでいくことを期待している」と答えた。

提供:建通新聞社