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2012/09/20

中小ビル省エネ改修に補助事業 民間ファンド創設を誘導

 環境省は、中小ビルの省エネ改修に対する新たな支援事業を2013年度に創設する。民間投資ファンドや特定目的会社(SPC)などが実施する複数ビルの省エネ改修を対象に、事業費の3分の1を補助する。省エネ改修で中小ビルの環境価値を向上させるとともに、改修したビルの環境格付けも行う。支援事業により、現在は投資効果が低い省エネ改修の市場評価の実績をつくり、ビジネスモデルの確立を図るのが狙い。
 既存の中小ビルの低炭素化は、省エネ改修の投資回収年数が長いために個人オーナーの負担が重く、新築に比べて大きく遅れている。エネルギーを管理するビルオーナーと、実際にエネルギーを使用するテナントとの間で、省エネに対する意識が異なる「オーナーテナント問題」なども障壁の一つになっている。
 環境省は、従来型のビルオーナーに対する改修費補助でこうした課題を完全に解決することはできないと考え、新たな支援スキームを検討。13年度予算の概算要求に「グリーンビルディング普及促進ファンド創設事業」として10億円を新規で計上した。
 同事業では、中小ビルの省エネ改修を目的とした民間投資ファンドの創設をモデル的に支援するとともに、改修費の補助と改修後の環境価値算定も同時に行う。
 改修費の補助は、創設を誘導する民間投資ファンド、改修工事を実際に手掛けるSPCなどが共同で申請。5棟以上の複数のビルの改修のみを対象に申請を受け付け、1棟当たりの年間CO2排出量を平均約20%削減させることを求める。改修後のビルの環境価値を格付けし、REITなど新オーナーへの売却を容易にする。
 また、改修後は、テナントに対して一定程度の省エネ努力を求める「グリーンリース契約」の導入を補助の要件にし、オーナーテナント問題の解消も図る。
 環境省は、同事業で13年度に20棟程度の省エネ改修を支援する。支援事業の実施で▽複数棟の改修によるリスク分散▽改修ビルの環境価値向上効果の市場評価▽オーナー・入居者の利益配分モデルの定着―などを進め、中小ビルの省エネ改修に対する金融融資・投資のビジネスモデル構築を目指すとしている。

提供:建通新聞社