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中央ニュース

2012/09/26

人材不足や後継者問題に強まる危機感

 国土交通省は、2011年度建設業構造実態調査の結果をまとめた。それによると、1社当たりの平均完成工事高は前回(08年度)調査時と比べ23・5%減の3億4380万円で、経常損失を抱える企業の割合は6・1ポイント増の25・8%と4分の1を超えた。経営上の課題をめぐっては、前回調査と比較すると「人材不足」や「後継者問題」の割合が大きく増え、技能や企業の承継に対する危機感が強まっていることが分かった。
 この調査は、建設産業の構造改善に向けた施策の企画・立案に役立てることを目的として、3年ごと(前回までは建設業構造基本調査の名称)に実施している。今回は、建設業許可業者の中から専業比率が80%以上の企業を抽出し、計6851者を集計対象とした(調査基準日は11年3月31日)。
 1社当たりの平均完成工事高は23・5%減の3億4380万円。業種別に見ると、一般土木建築が17・2%増と大幅に増えたのに対し、建築は53・3%減、設備は23・2%減、職別は17・8%減と減少が目立った。1社当たりの平均経常利益額は1・3%増の800万円、経常損失を抱える会社数は6・1ポイント増の25・8%だった。業種別では、特に職別工事業の平均経常利益額が落ち込み、経常損失を抱える会社の割合も高かった。
 公共工事受注比率は4・6ポイント増の30・4%、外注比率は0・6ポイント減の44・1%。総工事件数に占める原価割れ工事の比率を見ると、全体の66・8%が原価割れ工事を抱えていたが、前回比では1・7ポイント減少した。1社当たりの平均従業員数は8・9%減の14・3人で、特に建築が30・8%減と大きく減少した。
 経営上の課題については、複数回答で「利益率の低下」(86・2%)、「民間需要の減少」(75・3%)、「コストダウン要請の高まり」(65・7%)などが上位を占めた。また、「人材不足」は前回比で11ポイント増、「後継者問題」は5・7%増となった。
 今後の経営方針を尋ねたところ、「現状維持」を選んだ企業が57・6%で最も多く、「現業強化による事業規模の拡大」23・3%が続いた。「新事業分野への参入による事業規模の拡大」は5・9%で、進出先としては「建設業の他の業種」(38・5%)、「リフォーム・維持修繕」(25・6%)といった建設関連分野への進出を目指す企業が多かった。

提供:建通新聞社