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中央ニュース

2012/10/19

公共土木施設 地震・津波対策に遅れ

 会計検査院が行った国土交通省や農林水産省、南海トラフ巨大地震の被害が予想される15都道府県などを対象とする会計検査で、公共土木施設の地震・津波対策が計画通りに進んでいない現状が浮き彫りになった。海岸堤防で天端高が想定津波高より低い堤防が812`に上ったことをはじめ、耐震強化岸壁が整備されていない港湾が50港、治山施設の整備が未着手の地区が5万9425地区、耐震対策工事を実施していない河川堤防が47・4`など、対策の遅れが目立っている。
 検査は、国交省と農水省が直轄・補助事業で整備した▽河川▽海岸▽砂防▽道路▽港湾▽下水道▽公園▽治山▽漁港▽農業農村▽集落排水―などの公共土木施設を対象に実施した。直轄事業は国交省と農水省、補助事業は南海トラフ巨大地震の被害が予想される15都道府県などを検査した。
 海岸堤防については、東日本大震災の津波被害を踏まえ、海岸管理者が想定津波高の見直しを行っており「一概に比較できない」としつつも、天端高が想定津波高より低い「要保全海岸延長」が812`に上るとした。また、耐震点検が実施されていない海岸堤防の延長も2022`に及んでいる。
 港湾整備事業では、防災拠点港71港のうち、想定される最大規模の地震直後から緊急物資の輸送が可能な耐震強化岸壁が50港で整備されていなかった。治山事業では、危険地区9万9173地区のうち、59・9%を占める5万9425地区で整備が未着手だった。
 直轄の河川事業では、危険度が高いAランクの河川堤防47・7`で工事が未完了となった。補助事業で整備する河川堤防でも、耐震性能照査がほとんど手付かずのままだった。
 会計検査院では今回の検査結果を受け、財政状況が厳しい中でも施設の緊急度と重要度を考慮した対策を実施することが重要と指摘。国交省と農水省に対しては、東日本大震災を踏まえた耐震基準などの見直しを着実に実施するとともに、施設管理者に適切に情報提供するよう求めた。

提供:建通新聞社