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2013/08/23

国交省が南海トラフ巨大地震対策計画 静岡市由比で大規模土砂災害対策

 国土交通省は22日、南海トラフ巨大地震の被害軽減や早期復旧を進める際の重要テーマや重点対策箇所を示した「南海トラフ巨大地震対策計画」の中間報告をまとめた。地震発生時の被害軽減や応急活動の円滑化を図るため、テーマ別の重点対策10項目を整理。具体的な対策として、静岡市由比地区の大規模土砂災害対策を今後5年間で重点的に進めるほか、紀伊半島・四国・九州などの津波による浸水が想定される地域で「広域道路啓開計画」を策定し、対象路線の耐震化などを進める。
 中間報告は、政府の中央防災会議がまとめた南海トラフ巨大地震の被害想定を基に、国交省としての地震発生への備えを戦略的に進める対策をまとめたもの。この中で、地震発生前に予防的に講じるべき対策を「七つの重要テーマ」と「10の重点対策箇所」として抽出した。
 重点対策箇所の一つである静岡市由比地区は、太平洋沿いの限られたエリアに東名高速道路、国道1号、JR東海道本線が集中しており、大規模地滑りが発生すると、交通網が寸断される恐れがある。このため同地区では、地滑りの動きを止める深礎杭施工や排水トンネルの設置などの対策を今後5年間で重点的に推進する。
 名古屋の大都市圏を形成する濃尾平野は海抜ゼロメートル地帯であるため、高さ5bの津波を防げず、広範囲の浸水被害が発生する危険がある。木曽川などの堤防の液状化対策を早期に完成させ、浸水範囲を縮小させる。
 紀伊半島、四国、九州の太平洋岸では、道路寸断による孤立地域の発生を防ぐため、浸水が想定される主要道路を対象に、2013年度中に「広域道路啓開計画」を策定し、この計画に従って路線の耐震補強や代替路線の整備などの対策を重点的に進める。
 このほか、地震による強い揺れが想定される紀伊半島や四国などの山間地では、多数の大規模土砂崩壊や河道閉塞が生じ、甚大な二次被害を引き起こす恐れがある。こうした箇所を対象に砂防堰堤などの土砂災害対策を重点的に進める方針も示した。

提供:建通新聞社